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8月24日(木) 帰国しました
お蔭様で、昨日無事に戻りました。
今回は、主に「チャクラサンヴァラ」ルーイーパ流の我生起と究竟次第について学びました。
いずれ、本サイトに画像付きで御紹介したいと思います(こちらを御覧ください)。
8月 7日(月) インドへ学修に行きます
本日より24日(水)まで、個人的な学修のためにインドへ行ってきます。内容等は、帰国後に御報告できればと思います。
ポタラ・カレッジ東京センターの定期講習で私が担当するコースは、夏季休講明けの26日(土)から通常どおり実施します。
旅行期間中、ブログの更新は難しいと思います。今月下旬に、またお目にかかりましょう。
天候不順の日が続いていますから、皆様どうか御自愛なさってください。
8月 4日(金) ダライ・ラマ法王御法話事前勉強会
ダライ・ラマ法王猊下が今年11月に御来日され、東京で御法話会が予定されています。そのときのテーマとなる『縁起賛』と『修習次第』について、ポタラ・カレッジのゲシェー・ソナム・ギャルツェン師とクンチョック・シタル師による事前勉強会が、9月18日(月・祝)にダライ・ラマ法王日本代表部事務所(チベットハウス・ジャパン)で開催されます。詳しい情報は、こちらを御覧ください。
8月 2日(水) 夏季集中講座
早いもので、もう8月ですね!
ポタラ・カレッジ東京センターの定期講習は、8月7日(月)から20日(日)まで夏季休講となります。
その間に、恒例の夏季集中講座を、次のとおり実施します。
1.ナーロー六法 Ⅳ
チベット仏教ゲルク派宗祖ツォンカパ大師の『甚深道ナーロー六法教導次第・三信具足』をダライ・ラマ十四世法王が伝授した際の講伝録をもとに、チャンダリー、幻身、光明、ポワ、トンジュク、中有という六種の秘訣について考察します。今回は、究竟次第のうち「トゥルコルの次第」からです。前回まで受講していない方でも、資格を満たしていれば参加できます。
講師:ゲシェー・ソナム・ギャルツェン
日時:8月11日(金・祝)・12日(土)・13日(日) 午後1時~6時
受講資格:無上瑜伽タントラ大灌頂受法者限定
2.勝義諦と世俗諦 二諦論の概説
究極的な実体性を追求する智慧が体験する世界である「勝義諦」と、日常の正しい認識によって知られる世界である「世俗諦」。こうした二諦の設定について、インド仏教各学派の見解を概観したうえで、特に中観帰謬論証派の立場から考察し、大論師チャンドラキールティやツォンカパ大師の二諦論を明らかにします。二諦の設定をきちんと行なわずに、様々な物事を「有る」とか「無い」とか「空だ」とか語っても、無意味な言葉の遊びのようなものになってしまいますから、二諦論の理解はとても大切です。
講師:クンチョック・シタル
日時:8月19 日(土)・20日(日) 午前11時~午後5時
受講資格:どなたでも御参加いただけます。
詳しくは、こちらを御覧ください。
なお、8月の大阪教室は6日(日)に実施します。第4日曜ではないので、お間違いのないよう御注意ねがいます。
7月27日(木) 初転法輪法要
本日は、チベット暦の6月4日にあたります。この日は「チューコル・トゥーチェン」といい、お釈迦様が最初の説法をなさった御縁日とされています。
ポタラ・カレッジ東京センターでは、釈尊の偉業に随喜と感謝を捧げる法要を、午後7時45分から厳修します(7時30分開場)。
法要では、ゲシェー・ソナム師を導師に、「釈迦牟尼仏の礼賛偈」などを全員で読誦します。皆様お誘い合わせのうえ御参加ください(事前の参加申し込み、予約等は必要ありません)。なお、『チベット仏教常用経軌集』(ポタラ・カレッジ叢書3)をお持ちの方は、御持参ください。
※ 定期講習「ブッダパーリタ註の解説」は、午後7時30分までの授業となります。
7月10日(月) 夏季特講「仏教認識論の概要」
昨日の「ザムリン・チサン」、無事に終わりました。御参加くださった皆様、おつかれさまでした! 精進の功徳に随喜します。また、毎年お世話になっている清泰寺住職御夫妻に、心より感謝したいと思います。
さて、例年海の日にポタラ・カレッジ東京センター実施している夏季特別講習、今年は「仏教認識論 ロリクの概要」というテーマで行ないます。担当は、ガワン・ウースン師。日時は、7月17日(月・祝)午前11時~午後5時です。
仏教論理学の枠組みで、心が対象を認識する基本的なパターンを学ぶ「ロリク」は、チベット仏教僧院教育の入門課程の一つとされています。今回は、直観認識(現量)と推論認識(比量)などを中心に、その概要を分かりやすく紹介します。ロリクは、瞑想する心の分析でもありますから、密教の修行の裏づけとしても役だちます。
詳しい情報は、ポタラ・カレッジ公式サイトの「特別講習・集中講座の御案内」を御覧ください。
6月21日(水) 法王御誕生日とザムリンチサン
7月6日(木)は、ダライ・ラマ十四世法王テンジン・ギャツォ猊下82歳の御誕生日です。
ポタラ・カレッジ東京センターでは、法王の御誕生日をお祝いして御長寿を祈願するため、当日の午後7時45分から9時15分頃まで法要を厳修します。
また、チベット暦の5月15日(今年の場合だと、新暦7月9日)は、「ザムリン・チサ ン」といい、この世界の護法善神にお香を供養する日です。当日は、埼玉県飯能市の山麓にある真言宗智山派清泰寺の境内で、午前10時半から香供の法要を厳修します。
※ なお、当日7月9日(日)の定期講習は、全クラス休講となります。
詳しい情報は、ポタラ・カレッジ公式サイトの「法要の御案内」を御覧ください。
6月14日(水) 片仮名で覚える仏典のチベット語
ポタラ・カレッジでは、4月下旬から定期講習「チベット語入門」を開講しましたが、そうした本格的な語学コースではなく、片仮名表記の仏典に特化して気軽に学べる短期の通信受講専用コースを7月から始めます。担当は、チベット語の指導に定評のあるガワン・ウースン先生です。日頃よくお誦えしている経軌を材料に、チベット語の意味や発音を分かりやすく説明します。
たとえば、「サンギェー・チュータン・ツォクキ・チョクナム・ラ」という一行のサンギェーは仏陀、チューは法・・・というように、正しい発音と意味を学んでゆきます。それにより、経軌で頻出する基本的な仏教用語を、片仮名で覚えることができます。そうすると、和訳も参照することで、片仮名表記されたチベット文が、とても身近なものになってくるでしょう。詳しくは、こちらを御覧ください。
6月 2日(金) 修習義の曼荼羅
ところで、前の記事で紹介した絵の注目すべき点の一つは、成就法の中で観想する修習義の立体的な曼荼羅が、けっこう正確に描き込まれているところです。
絵画としての見映えも考慮されていたり、そもそも描ける内容には限界があることに留意すべきだけれど、瞑想の参考にはなると思います。
ここからは、無上瑜伽タントラの灌頂を受けて成就法を学修している方向けの話です。
我生起を修習するプロセスでは、行者(=自分)はこうした楼閣の中心に居て、東(この絵では、白い階段のある側)を向いて座っていると観想します。
トルマ儀軌などで眼前生起するときは、まさにこの絵のように、東を正面にして楼閣を自分の目の前の少し上に観想します。
この絵では、結界は球形のイメージで、法源は逆三角形(下半分は雲の中に隠れている)を二枚合わせたようなイメージで描かれています。ちょうどその隙間に、楼閣が収まっているような形です。
金剛地や楼閣そのものに関しては、造形としての立体曼荼羅を拝観すれば瞑想の参考になるけれど、結界や法源の立体的な視覚イメージは、なかなか把握しにくいと思います。そういう意味で、これは貴重な参考資料だといえるでしょう。
5月31日(水) 五次第明灯の瑞相
早いもので、まもなく6月ですね。この時期は、「サカダワ」等の法要が続くけれど、まとまった休みで中断されることがないため、定期講習の学修に専念できる善い機会でもあると思います。
及ばずながら私が担当させていただいている密教の2コースも、「グヒヤサマージャ(秘密集会)二流儀成就法」が中有の報身、「五次第明灯」が定寂身の実修法ということで、両方とも大変重要な箇所に入っています。関連する典籍なども参照しながら、丁寧に説明を進めてゆきたいと思います。
このタンカは、宗祖ツォンカパ大師が『五次第明灯』を著述なさるにあたって体験された瑞相を、直弟子ケートゥプ大師による『秘密の伝記』の記述に沿って描いたものです(ギュトゥー寺の教科書として2014年に出版された校訂本の口絵より)。
ごく簡単にまとめると、ツォンカパ大師の夢に、文殊金剛十九尊曼荼羅が現われて主尊から瓶水を授かり、またプトゥン大師から『グヒヤサマージャ根本タントラ』の経巻を頂戴する・・・という内容のようです。
話は変わりますが、私がチベット仏教を学び始めた頃とても親切に指導してくださった恩深い日本人の先輩が、わりと最近くださったお手紙の中で、「ゲルク派は、一般には顕教重視の宗派のように思われていますが、顕教はもちろんのこと、実は密教がすばらしいと私は思います」とおっしゃっていました。自分も、まさにそのとおりだと感じています。
この先輩はチベット語に堪能で、チベット仏教各派の教えや、日本仏教の伝統教学、さらに近代仏教学にも大変造詣の深い方です。本当によく分かっていらっしゃる方のコメントだけに、とても重みがあると思います。
密教の門へ入るためには、共通の道として顕教の内容をよく修練することが、絶対に欠かせません。それを当たり前の大前提としたうえでの話ですが、ツォンカパ大師の全集に親しめば親しむほど、大師の真意が密教、それも「グヒヤサマージャ」を中心とする無上瑜伽タントラにあることが、だんだんよく見えてきます。
私自身、そうしたツォンカパ大師の密教体系こそ、まさに自分が探し求めていた究極の仏法だということには、とても強い確信があります。なので、能力の面では甚だ心許ない限りですけれど、気持ちの面では決してブレることなく、この道を進んでゆきたいと思っています。
5月25日(木) 明日から「サカダワ」
「サカダワ」とはチベット暦4月のことで、お釈迦様に有縁の月とされ、功徳を積むのに大変よい機会と考えられています。今年の場合、新暦の5月26日から6月24日までがサカダワです。
サカダワの満月の日(チベット暦4月15日、今年の場合新暦6月9日)は、お釈迦様の誕生・成道・涅槃の御縁日とされています(誕生については、4月8日とする説もあります)。
ポタラ・カレッジ東京センターでは、その当日6月9日(金)午後7時45分から、ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師が導師を勤めて「サカダワ法要」を厳修します。こちらを御覧ください。
なお、5月28日(日)の定例法要はお休みとなります。
5月16日(火) 春の密教伝授の記録ページ
大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下をお招きしてポタラ・カレッジ東京センターで4月に実施した「2017年春の密教伝授」の保存版記録ページを、ポタラ・カレッジ公式サイトにアップしました。
こちらを御覧ください。
5月 3日(火・祝) 秘密集会曼荼羅の解説
前の記事にも書いたとおり、5月5日(金・祝)に、GW特別講習「グヒヤサマージャ(秘密集会)曼荼羅の解説」を担当させていただきます。聖者流とジュニャーナパーダ流を対比する形で説明する予定です。無上瑜伽タントラ灌頂受法者限定なので、一般向けではない本格的な行法の話をします。
実地に図像等を見ながら、具体的な観想内容を習得できるように目指したいと思います。密教の成就法の中でも、とりわけ曼荼羅に関することは、言葉の説明だけでは分かりにくいです。普段通信受講されている方の、いわゆるスクーリングの機会という意味あいもあります。
連休の貴重な時間を費やして受講なさる方々に、「参加してよかった」と少しでも感じてもらえるよう、努力したいと思います。
4月30日(日) 連休後半の特別講習
ポタラ・カレッジ東京センターのGW特別講習、「六座グルヨーガの解説」が昨日終わりましたが、連休後半には次の3つがあります。
5/3(水・祝)白傘蓋仏母の成就法 クンチョック・シタル担当
5/4(木・祝)文殊菩薩の成就法 ガワン・ウースン担当
5/5(金・祝)秘密集会曼荼羅の解説 齋藤保高担当
時間は、いずれも午前11時~午後5時。
白傘蓋仏母と文殊菩薩の成就法は、通信受講も可能です。
私が担当する秘密集会曼荼羅は、実地に図像を指し示しながら説明するため、通信受講はできません。これは、普段「秘密集会二流儀成就法」コースを通信受講されている方に対するフォーローという意味も含んだ企画です。百パーセント通信受講だけで成就法を学ぶのは困難ですから、御都合のつく方は是非出席なさって欲しいと思います。
詳しくは、こちらのページを御覧ください。
4月23日(日) 訃報 第百三世ガンデン座主猊下
ゲルク派の現管長である第百三世ガンデン座主ロサン・テンジン猊下が、4月21日に御示寂の理趣をお見せになりました。
ロサン・テンジン猊下は、先代の第百二世ガンデン座主リゾン・リンポチェ猊下が7年間の任期を満了された後、2016年に第百三世ガンデン座主として晋山なさっています。
4月20日(木) チャト・リンポチェお見送り
17日の「グヒヤサマージャ(秘密集会)」根本タントラ、続タントラのルン(阿含の伝授)をもって、「ポタラ・カレッジ 2017年春の密教伝授」は、大変有意義な成果を残して全日程を終えました。これもひとえに、大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下の多大な御恩と、受者の方々の真摯な御精進のお蔭です。
「一切タントラの王」たる『秘密集会』の大灌頂を、聖者流とジュニャーナパーダ流の両方で厳修し、さらに根本タントラ等のルンも実施できたのは、極めて画期的なことだと言えるでしょう。
昨日は、チャト・リンポチェ猊下御一行を、成田空港でお見送り致しました。リンポチェは、ギュトゥー寺僧院長という重責を終えられたので、今後は自由になるお時間が少し増えるかもしれません。近い将来、再び日本へいらっしゃり、貴重な教えの数々を授けていただくことができれば、とても素晴らしいと思います。
4月17日(月) 六座グルヨーガ
大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下の密教伝授、「グヒヤサマージャ(秘密集会)」ジュニャーナパーダ流の大持灌頂も、お蔭様で昨日無事に成満しました。
御承知のとおり、前週の「秘密集会」聖者流大灌頂と今回のジュニャーナパーダ流大灌頂を受法された方は、「六座グルヨーガ」を毎昼夜に修行することが三昧耶(誓約事項)となっています。
宗祖ツォンカパ大師は、無上瑜伽タントラの修行のプロセスを、次のように明確に提示なさっています。
顕密共通の道の学修(ラムリムなど)→大灌頂→三昧耶と律儀の保持→聞と思による生起・究竟二次第の理解→生起次第の修習→究竟次第の修習
これらの中で「三昧耶と律儀の保持」の具体的な方法が、まさに「六座グルヨーガ」なのです。従って、これをきちんと修行していないと、その先の生起次第や究竟次第は全然成立し得ないわけです。
この「六座グルヨーガ」の行法指導を、ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師の担当で、4月29日(土・祝)午後1時~6時にポタラ・カレッジ東京センターで実施します(通信受講も可)。
今回初めて「六座グルヨーガ」を修行する方はもちろん、要点を復習したいとお考えの方にもお奨めです。
詳しくは、こちらを御覧ください。
「六座グルヨーガ」の修行は、とにかく毎日毎日、ずっと続けることが大切です。最初のうちは、完璧に瞑想するのは難しいですから、少しづつ儀軌に慣れることを目指しましょう。厳しく考えすぎて些細な点にこだわると、毎日続けるのが難しくなってしまいかねません。
もし、実修上の疑問や困難が生じたら、いつでも相談に応じますから、遠慮なくお声をかけてください。
「六座グルヨーガ」と「三昧耶戒」については、本サイトの「無上瑜伽タントラ灌頂受者専用ページ」にも詳しい解説がありますから、よろしければ御活用なさってください。入口はこちらです。
また、拙著『チベット密教 修行の設計図』(春秋社)の第八章(pp.86-101)にも、「六座グルヨーガ」の結構踏み込んだ説明があります。
4月16日(日) ジュニャーナパーダ流曼荼羅
昨日の大灌頂準備行、受者の皆様お疲れ様でした。
本日の正行も、ともに精進しましょう!
写真は、大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下が以前にお持ちくださったジュニャーナパーダ流十九尊曼荼羅です。
内陣の中央は主尊文殊金剛、東(画像では下)は大日、南(画像では向かって左)は宝生、西は無量光(阿弥陀)、北は不空成就、東南は仏眼母、南西はマーマキー、西北は白衣母、北東はターラー、外の東南角は色金剛女と地蔵の父母尊、南西角は声金剛女と金剛手の父母尊、西北角は香金剛女と虚空蔵の父母尊、北東角は味金剛女と世自在の父母尊、東門の北は触金剛女と除蓋障の父母尊、東門の南は法界金剛女と普賢の父母尊、東門は大威徳、南門は無能勝、西門は馬頭、北門は軍荼利です。
主尊と大日など四如来は自らと等しい母尊を伴い、仏眼母など四仏母は自らと等しい父尊を伴い、大威徳など四忿怒明王は自らと等しい忿怒母を伴っているので、十九尊とは19組の父母尊という意味になります。
ところで大阿闍梨のお話に、こうした曼荼羅の輪を観想すること自体が空性の修習になるという点を、宗祖ツォンカパ大師が『真言道次第広論(ガクリム・チェンモ)』第十二品でジュニャーナパーダ流の学僧たちの説を引用してお説きになっている・・・とありましたが、それの該当箇所は拙著『ツォンカパのチベット密教』第Ⅲ章pp.253-257です。
4月15日(土) ジュニャーナパーダ流大灌頂
本日と明日の二日間、いよいよグヒヤサマージャ(秘密集会)ジュニャーナパーダ流の大灌頂です!
今日のゲルク派密教で「グヒヤサマージャの大灌頂」といえば、ほとんどが聖者流ですから、今回ジュニャーナパーダ流で厳修されるのは、とても珍しい機会だといえます。
千年前にアティーシャ大師が御活躍なさった頃、インド後期密教の総本山ヴィクラマシーラ寺などで盛んに学修されていたジュニャーナパーダ流の伝統を、私たちも受け継ぐことができるのは大変に感慨深いことです。
写真は、ジュニャーナパーダ流グヒヤサマージャの本尊である文殊金剛(大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下が御持参なさった画像です)。
4月10日(月) 秘密集会聖者流大灌頂成満
春の密教伝授のうち、グヒヤサマージャ(秘密集会)聖者流の大灌頂は、4月8日の準備行(タグン)、9日の正行(グーシ)とも無事に成満しました。
当日は狭い場所に多勢の受者の方々が集まり、大変窮屈な状況で長時間御辛抱いただくことになりましたが、皆様の御協力のお蔭で法儀を円滑に進めることができました。受者各位の多大なる御精進の功徳に、心より随喜を捧げたいと思います。
今回は残念ながら、4月6日に予定していた前行御法話が中止になってしまいました。しかし、8日の準備行の前半では、仏教全体の枠組みを踏まえたうえで、密教一般や無上瑜伽タントラ、そして「秘密集会」の位置づけや特長を整理するという、大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下ならではの簡潔で明快な解説をなさっていただき、とてもよかったと思います。
4月 6日(木) 灌頂で一番大切なこと
いよいよ今週末から、「ポタラ・カレッジ 2017春の密教伝授」が行なわれます。御承知のとおり、今回はグヒヤサマージャ(秘密集会)の大灌頂を、聖者流とジュニャーナパーダ流の両方で授けていただくという、滅多ない素晴らしい機会となります。
こうした大灌頂を受法するにあたって最も大切なのは、至極当たり前のことですが、三宝への帰依、そして菩提心です。
こうした点については、以前のブログでも再三書いていますが、重要なことですから昔の記事に若干手を加え、再掲しておきましょう。これは、私自身の自戒のためでもあります。
密教の灌頂や伝授では、「ラマと本尊は一心同体であり、それに仏法僧の三宝が集約されている」と信解し、真心から帰依することが大切です。
そして、「一切衆生のため、自分自身が仏陀の覚りを得よう」という菩提心を動機にして、灌頂や伝授を受けることが肝要です。
一番大事な要点は、実にこれだけです。
グヒヤサマージャのような深遠な密教を修行するには、仏教一般の巾広い知識や、特に中観の正しい理解が必要です。また、密教自体についても、学ぶべきことはたくさんあります。瞑想を実践するためには、精神集中力も欠かせません。
けれどもこれらは、灌頂を受けてから、いくらでも学修できます。特に精神集中力や瞑想技法などは、成就法の実践を通じて修練することが可能です。
帰依と菩提心もまた、灌頂を受けてから、さらにレベルアップしてゆく必要があります。
しかし、この両者が精神集中力などと決定的に異なるのは、「もし帰依と菩提心が全然なければ、その人にとって、灌頂自体が全く成立しない」という点です。たとえ伝授会場に座っていても、物理的に身体がその場に存在しただけにすぎず、本当の意味で灌頂を受けたことにはなりません。
ですから密教伝授に際して、とにかく帰依と菩提心だけは、何よりも重要視しなければいけないのです。
菩提心といっても、正真正銘の非作為的な菩提心を発するのは、そう簡単でありません。
そこまでは無理でも、まず菩提心についてよく学び、「自分も菩提心を発したい」という真摯な願望を抱き、そのうえでよく瞑想することが大切です。
例えば、「因果の七秘訣」などの瞑想を重ねることにより、作為的な菩提心を確立できるようになります。
大灌頂の法儀では、一日めの「受法の動機を正す」という次第で、ラマが菩提心のお話をなさるはずです。その内容を聴聞しながら、作為的な菩提心を確立できれば、それを動機にして大灌頂を受けられるわけです。
だから、これは非常に重要なプロセスです。私たち受者にとっては、今回の大灌頂のために作為的な菩提心を発する、いわば最後のチャンスなのです。もしこのとき、私が「どうせいつもの菩提心の話だ」などと軽く考えて受け流し、きちんと作為的菩提心を確立できなければ、私にとって今回の大灌頂は形ばかりのものとなってしまいます。
さて、こうして作為的な菩提心を発したら、それを動機にして大灌頂を受けることができるのですが、いつまでも作為的な菩提心のままでよいというわけではありません。灌頂を受けた後も菩提心のレベルアップに精進し、非作為的な菩提心を目指すべきです。これができたら、そのとき本当に密教の菩薩となるのです。
いま私たちは、仏教を修行できる境遇たる有暇具足を手中にし、それも単に仏教一般のみならず大乗仏教、その中でも密教、さらにその中でも無上瑜伽タントラの有暇具足に恵まれています。そして今回、「一切タントラの王」と位置づけられるグヒヤサマージャの大灌頂に入壇しようとしているのです。
これだけ稀有なる素晴らしい条件が揃っているのに、「発菩提心など無理だ」とか「菩薩行などとても出来ない」とか、そんなことを言っていられますか? 今やこれらは、出来るか出来ないかの問題ではありません。自分が実践するかしないかという、ただそれだけの問題なのです。
4月 3日(月) 密教伝授の特設ページ
ポタラ・カレッジ公式サイトに、春の密教伝授の特設サイトを設置しました。
こちらです。
最新情報を逐次アップしてゆきますので、受法予定者の方は必ずチェックしてください。
4月1日には、東京センターの大掃除と荘厳を行ない、伝授会場の大枠の準備は整いました。御奉仕くださった会員ボランティアの皆様に、心より随喜と感謝を捧げます。
3月29日(水) 密教伝授の案内書送付
来月に予定している「2017年春の密教伝授」の正式な案内書・申込書を、ポタラ・カレッジ会員の皆様へ昨日発送しました。もし今週中に届かない場合は、御一報ください。
会員以外の方へも、御依頼があればお送りしますので、遠慮なくおっしゃってください(TEL.03-3251-4090、info@potala.jp)。
今回は、案内書の送付が大巾に遅くなってしまい、大変申し訳ありません。稀有なる密教の伝法の機会にあたっては、様々な障礙の発生が、ある意味で付き物だといえます。この点は、今までも数多く経験していることです。今回の密教伝授が無事に成満するよう、皆で心を合わせて祈願しましょう。
受法予定者の方々は、お送りした文書の内容をよくお読みになり、手続きをなさってください。
3月28日(火) 定期講習の御案内をアップしました
春からの定期講習の御案内を、ポタラ・カレッジの公式サイトにアップしました。
こちらを御覧ください。
概要は、18日の記事で紹介したとおりです。
「チベット語入門コース」の開講は、現状だと数年に一度ぐらいが精一杯です。今回はとても良いチャンスなので、チベット語に関心のある方は、是非受講を検討してみてください!
3月18日(土) 4月下旬からの定期講習
ポタラ・カレッジ東京センターの春からの定期講習は、4月22日(土)にスタートします。
今回の新規開講は、チベット語入門(毎週土曜午後3時15分~4時45分;ガワン・ウースン師)、前行道場 六加行法(毎週日曜午後5時~6時30分;ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師)の2科目です。
また随時参加方式の瞑想教室(毎週日曜午後3時15分~4時45分;ゲシェー・ソナム師)は、今期は特定のテキストを用いず、心の集中や教理の観察などの瞑想法を実践指導する予定です。
その他のコースは(通信受講専用コースも含めて)、全て現行の内容の続きとなります。
また、大阪教室定期講習の2科目も、現行の内容を継続して実施します。
3月 6日(月) 春の密教伝授と事前講習
ポタラ・カレッジ公式サイトのトップページ新着情報欄に、4月開催予定の密教伝授に関する情報と、事前の特別講習「灌頂受法の心構えと秘密集会の概要」(3月20日)のお知らせを掲載しました。こちらを御覧ください。
2月28日(火) 祈願大祭法要、3月12日に
チベット暦1月の満月の日(今年の場合、新暦の3月12日)は、「チョトゥル・トゥーチェン」といい、お釈迦様が神変により諸魔を降した日とされています。ダライ・ラマ法王の仮宮殿があるダラムサラの中央寺院では、この日を中心に祈願大祭(ムンラム・チェンモ)が挙行され、宗派や僧俗の別なく大勢の人々が参集します。
ポタラ・カレッジ東京センターでは、次の要領で「祈願大祭法要」を厳修します。釈尊の偉業に随喜して功徳を積み、祈りを捧げる善き機会です。どなたでも、自由に御参加いただけます。
導師:ゲシェー・ソナム・ギャルツェン
日時:3月12日(日)午後6時45分~8時15分頃(開場午後6時30分)
◎ 『甚深道たる上師供養儀軌』(ポタラ・カレッジ叢書6)や『チベット仏教常用経軌集』(ポタラ・カレッジ叢書3)をお持ちの方は御持参ください。
2月27日(月) チベット暦正月
༄༄།། ནམ་ལོ་གསར་ལ་བཀྲིས་བདེ་ལེགས་ཞུ །།
本日は、チベット暦2144年の元旦です。
新年「ロサル」を迎え、信心深いチベットの人々が平和な生活を送れるよう、心から祈念したいと思います。
1月27日(金) 訃報 ゲン・タムチュー・ギェルツェン師
大変悲しいお知らせです。
ダラムサラ仏教論理大学の前学長で、大本山デプン寺ロセルリン学堂コヲ・カンツェンの長老、ゲシェー・タムチュー・ギェルツェン師が、2017年1月25日に御示寂の理趣をお見せになりました。
同師は、1998年のポタラ・カレッジの設立にあたり、宗教・学術顧問をお引き受けくださった大恩人です。
また、ポタラ・カレッジの招聘で2004年に御来日され、『現観荘厳論』など貴重な教えを授けてくださった偉大な善知識です。
2008年、ロセルリン学堂の新本堂落慶にあたり、ダライ・ラマ法王猊下による「現観荘厳論」などの御講伝が行なわれた際、ゲン・タムチュー師は、ポタラ・カレッジ参拝団のために平易な補講を授けてくださいました。
ここに謹んで、同師の深い御恩に感謝を捧げるとともに、有縁の所化をお導きになるため、再びこの世界で教化の御事業をお続けくだるよう、心より祈願したいと思います。
なお、ゲン・タムチュー師の御説法「煩悩の認識論的考察と実践的対処法」が、『チベット仏教高僧法話集』(ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書7)pp.154-165に収録されているので、同師の遺徳を偲ぶため御一読をお勧め致します。
また、ポタラ・カレッジ設立にあたり、宗教学術顧問として寄せてくださった推薦のお言葉と御影は、こちらで御覧になれます。
1月20日(金) 2月の特別講習
ポタラ・カレッジでは、2月11日に東京センターと大阪教室で特別講習を実施します。
1.早春の特別講習「チッタマニ・ターラーの実践指導」
「チッタマニ・ターラー」の灌頂受者を対象に、短いグルヨーガ(昨年11月のダライ・ラマ法王猊下による灌頂で誓約事項となったもの)や成就法の行法を実地に指導し、講師とともに実修します。具体的な修行のやり方を練習するよい機会です。
講師:ゲシェー・ソナム・ギャルツェン
会場:ポタラ・カレッジ東京センター
日時:2月11日(土・祝)午後1時~午後6時
受講資格:「チッタマニ・ターラー」の灌頂を受法した方に限ります。
2.大阪特別講習「無上瑜伽タントラの修行」
大阪教室の特別講習です。「グヒヤサマージャ(秘密集会)」や「チッタマニ・ターラー」など、無上瑜伽タントラの灌頂を受けてからどのような修行を実践するかについて、その概要を初心者にも分かりやすく説明します。巾広く修行の枠組みを紹介する機会なので、現時点での灌頂の有無にかかわらず、どなたでも受講できます。
講師:クンチョック・シタル
日時:2月11日(土・祝)午後1時~5時
会場:應典院(おうてんいん); 大阪市天王寺区寺町1-1-27
日本橋駅8番出口より東へ歩7分。谷町九丁目駅、上本町駅3番出口より西へ歩8分。
受講資格:どなたでも御参加いただけます。
いずれも、事前の受講申し込みが必要です。
お問合せ・お申込は、TEL.03-3251-4090、info@potala.jpまで。
2017年1月3日(火) 謹賀新年
あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いいたします
大晦日の記事でもお知らせしたとおり、本日午後は、ポタラ・カレッジ東京センターで初詣ができます。3時からは「新年法要」を厳修しますので、御都合のつく方は是非いらっしゃってください。
さて、今春は高僧を招聘して「グヒヤサマージャ(秘密集会)」の大灌頂を、できれぱ聖者流とジュニャーナパーダ流の両方で授けていただきたいと考えております。実はこの件は、2年前頃から企画していたことです。
昨年秋に大阪でダライ・ラマ法王猊下による「秘密集会」大灌頂が予定され、法王猊下の御健康状態に配慮して「チッタマニ・ターラー」の灌頂に変更されたことは、御承知のとおりです。たまたまそれをフォローするような時期に、ポタラ・カレッジで「秘密集会」大灌頂を実施する巡り合わせとなりましたが、もともとそのような意図で企画したものではありません。
ダライ・ラマ法王猊下による灌頂の場合、公開の行事である限り、参加者を選別することは事実上不可能です。主催者側の意図とは別のところで、各方面から様々な強い要望が寄せられ、伝統的な密教の原理原則よりもそれらを優先せざるを得ないケースが多々あります。私も以前に法王事務所で仕事をした経験がありますから、この点は心底痛感しています。
要するに何を言いたいのかといえば、「秘密集会」のような高度な無上瑜伽タントラの大灌頂を、申し込みさえすれば誰でも無条件に受法できるということは、特例中の特例だったということです。
今春ポタラ・カレッジで予定している「秘密集会」大灌頂は、法王猊下によるものではないから、そのような特例的な事情はありません。ですから、伝統的な密教の大原則にのっとり、受法資格を設けることになります。
昨年秋に法王猊下から「チッタマニ・ターラー」の灌頂を受けていても、無条件に「秘密集会」大灌頂を受法できるわけではありません。この点は、是非誤解のないようにしていただきたいと思います。
では、その受法資格は具体的に何かといえば、分かりやすく要約すると次の2点になります。
第1は、顕密共通の道として、「ラムリム」などをある程度学修していることです。
第2は、大灌頂受法後に、三昧耶と律儀を保持するため「六座グルヨーガ」を毎日昼夜に修行すると誓えることです。
これらは、ポタラ・カレッジで勝手に決めていることではなく、様々な教証に基づいて伝統的に守られてきた基準です。
これらのうち、第1の「ラムリム」については、1月9日に予定されている新春特別講習で概要を学ぶことができます(大晦日の記事を御参照ください)。一日だけの特別講習では、教えの詳しい内容にまで踏み込めませんが、「ラムリム」を学修してゆくための指針は提示できると思います。
「秘密集会」大灌頂の受法を希望する方で、今まで「ラムリム」を学んだことがない場合は、まず今回の特別講習で学修の指針を明確にし、それから書物などで集中して勉強することをお勧めします。
もちろん、そのような短期間の勉強で十分だということには全然なりませんけれど、自分の心の方向性を確立することが一番大切なのです。それができれば、大灌頂受法後も、継続して「ラムリム」など顕密共通の道を修練してゆけるでしょう。
だから、上記の第1の受法資格を吟味するにあたり、たとえば「ポタラ・カレッジの何々の講習を何年間受講済み」などという形式的な条件を設定することはありません。そうではなく、自分自身の心の方向性を「ラムリム」に合わせ、その学修の道を歩み始めるという、この点こそが大事なのです。
何事も即物的に考えてしまう我々現代人には分かりにくい面もあるけれど、こうした仏教的な考え方に慣れ親しみ、今からできる限りの準備を始めて欲しいと思います。
2016年12月31日(土) 新年法要と新春特別講習
今年は、ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師による初めての許可灌頂が実現したのをはじめ、ポタラ・カレッジの活動は結構充実していたと思います。
でも、自分個人の学修や執筆等の成果は、ほとんど何も達成できていないような気がします(汗)。来年は、もっと頑張らないといけませんね。
何はともあれ、一年間いろいろとお世話になりました。
来年もまた、ポタラ・カレッジともども、「チベット仏教ゲルク派 宗学研究室」を、どうかよろしくお願いいたします。
さてここで、年明けのポタラ・カレッジの行事を、二つ御紹介しましょう。
1.初詣と新年法要
1月3日(火)午後2時~5時の間、ポタラ・カレッジ東京センターで初詣ができます。
同日午後3時~4時には、新年法要を厳修します。ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師を 導師に、「タシー・ツェクパ」など、吉祥のお経を皆でお誦えしましょう。チベット風のお赤飯(デースィル)の供養もあります。どなたでも御参加いただけますから、是非いらっしゃってください。
2.新春特別講習 ラムリム概要
チベット仏教の教理・実践体系である「ラムリム(菩提道次第)」について、その概要を平易に解説します。「ラムリム」の教えは、顕教と密教に共通する道と位置づけられ、密教の本格的な道へ入るためには必ず学んでおく必要があります(「ラムリム」については、こちらの記事も御参照ください)。
ポタラ・カレッジで春に予定されている「グヒヤサマージャ(秘密集会)」大灌頂も、「ラムリム」の教えを学修していることが受法資格となります。今回一日だけの特別講習では、教えの詳しい内容にまで触れられませんけれど、「ラムリム」を学修してゆくための指針を提示できると思います。通信受講も可能です。
講師:クンチョック・シタル
会場:ポタラ・カレッジ東京センター
日時:1月9日(月・祝)午前11時~午後5時
お問い合わせ・受講お申し込みは、info@potala.jp、またはポタラ・カレッジ公式サイトから。
12月26日(月) チッタマニ行法伝授、無事満了
12月23日からの三連休に実施した年末集中講座、ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師による「チッタマニ・ターラーの行法伝授」には、予想を超える多くの受講者が集まってくださりました。出席者の方々には、窮屈な状態で長時間御辛抱いただくという、まるでインドのチベット仏教僧院に於ける受法並みの御苦労をおかけしてしまい、大変心苦しい限りです。それでも、皆様の御協力のお蔭で、何とか無事に終了することができました。
参加者の皆様、そして準備段階から献身的に御奉仕くださった会員の方々に、心より随喜して感謝したいと思います。
「チッタマニ・ターラー」のグルヨーガと成就法については、より具体的な実修指導を、ゲシェー・ソナム師の担当で来年2月11日(土・祝)に実施する予定です。これは、講師と参加者が一緒にグルヨーガや成就法を修行しながら、やり方を実地に練習するというものです。今回の行法伝授の受講者はもちろん、それ以外の方でも「チッタマニ・ターラー」の灌頂を受けていれば御参加いただけます。
12月22日(木) 二十一尊ターラーの図像集
師走に入ってから、すっかりブログの更新をサボってしまいましたが(汗)、今日は貴重な本を紹介したいと思います。
西洋児『救度仏母ターラ二十一尊の図像』
『二十一尊ターラー礼賛経』の各偈に相応するターラーの行相を丁寧に描いた仏画集です。
1ページに一尊づつ、カラー図像の下に該当する偈の経文が、チベット語、片仮名読み、和訳の順で記されています。この和訳には、私が以前に訳して『チベット仏教常用経軌集』などに掲載されているものを使ってくださっています。
西洋児さんは、チベットのタンカの技法をネパールで習得し、現在はスペインで製作活動を続けている日本人のタンカ絵師です。
御本人のブログでこの本を紹介している記事をリンクしておきますから、是非御覧になってください。
購入希望の方は、リンク先ページの下の方にあるオンラインショップ入口から。
http://thangka.sangkyap.net/?eid=151
チベットレストラン・タシデレ、ポタラ・カレッジ東京センターでも取り扱っています。
11月30日(水) 六座グルヨーガ解説のCD送付
前の記事で御案内した特別講習「六座グルヨーガの解説」、ガワン先生の担当で先週無事に終了しました。今回は、通信受講の方も結構多くいらっしゃったのですが、昨日までにCDと資料の送付を完了しました。
「六座グルヨーガ」については、拙著『チベット密教 修行の設計図』の第八章pp.86-101でも概説していますから、併せて御参照いただければ理解が深まると思います(ちなみに、同書第七章pp.73-85は、「秘密集会」生起次第の概説です)。
前の記事でも書いたとおり、伝統的に無上瑜伽タントラの灌頂では、「六座グルヨーガ」を毎日昼夜に修行することが三昧耶(誓約事項)となります。なぜかというと、灌頂を受けた以上、誓約した三昧耶と律儀(菩薩戒と三昧耶戒)を保持することが、何よりも優先すべき重要な実践内容となるからです。
ポタラ・カレッジで「秘密集会」など無上瑜伽タントラの大灌頂を実施する場合には、ほぼ必ず「六座グルヨーガ」が三昧耶になります。灌頂受法のお申し込みを受理する際、事前に会長のゲシェー・ソナム・ギャルツェン師と個別に面談していただき(遠方の場合は電話も可)、「六座グルヨーガ」を毎日修行してゆくお気持ちを確認しています。本来、無上瑜伽タントラの灌頂の入壇を許可するには、このぐらいの厳しさは必要だと思います。そういう手順を踏んで灌頂を受法すれば、密教行者としての自覚と善い意味での誇りを持つことができるし、自らの受持している三昧耶と律儀こそがその証しになるのです。
今回ダライ・ラマ法王猊下から「チッタマニ・ターラー」の灌頂を受法された方は、三昧耶にはなっていないけれど、「六座グルヨーガ」を実修する資格を得たことになります。
なので、この絶好の機会に「六座グルヨーガ」についてよく学び、少しづつ修行を始めておけば、後に「六座グルヨーガ」が三昧耶となる灌頂を受けても、苦労が少ないと思います。
11月10日(木) 六座グルヨーガとチッタマニ・ターラー
一昨日、ダライ・ラマ法王猊下が御来日されました。先週ダラムサラで少し御体調を崩されたと伝えられておりましたが、成田空港へお迎えに上がったガワン先生の話だと、普段とあまり変わらない御様子だったそうで、まずはよかったと思います。法王猊下の御健康を、心よりお祈り申し上げます。
間もなく大阪で行なわれる法王猊下による灌頂が「グヒヤサマージャ(秘密集会)」から「チッタマニ・ターラー」へ変更になったことも踏まえ、11月と12月にポタラ・カレッジ東京センターで、それに関連する内容の特別講習・集中講座を実施します。
1.初冬の特別講習「六座グルヨーガの解説」
ダライ・ラマ法王猊下による「チッタマニ・ターラー」の灌頂をはじめ、無上瑜伽タントラの灌頂受法者を対象とし、「六座グルヨーガ」の行法を、初めての方にも分かりやすいよう平易に解説します。「六座グルヨーガ」は、無上瑜伽タントラの灌頂を受けてから最初の課題となる「三昧耶と律儀の保持」の、具体的な実践と位置づけられます。伝統的には、無上瑜伽タントラの灌頂では、この「六座グルヨーガ」を毎日昼夜に修行することが三昧耶(誓約事項)となります。大阿闍梨の裁量で三昧耶とならない場合でも、できれば修行した方が望ましいことは言うまでもありません。通信受講の対応も可能です。
講師:ガワン・ウースン
日時:11月23日(水・祝)午前11時~午後5時(途中、1時間の昼休み。)
受講資格:無上瑜伽タントラの灌頂受法者限定。
2.年末集中講座「チッタマニ・ターラーの行法伝授」
「チッタマニ・ターラー」の灌頂受者を対象に、三日間かけて生起次第と究竟次第の行法を詳しく解説し、瞑想を丁寧に指導します。「チッタマニ・ターラー」の行法は、頭頂・喉・胸・臍・秘処にチャクラを観想し、各チャクラの中心と脉管に微細なターラーを修習するなど、簡潔ながら深遠な内容となっています。
ターラーは、諸仏の衆生済度のお働き、つまり善巧方便そのものを体現した仏母です。それゆえ、あくまで仏道修行の成就を主目的とする点に留意すべきですけれど、息災・増益・敬愛・降伏の四事業と結びつけて修法し、様々な現世利益を祈願することもできます。こうした内容は、大乗仏教の大慈悲と菩提心に基づき、正しく理解したうえで実修することが大切です。
今回ダライ・ラマ法王猊下から「チッタマニ・ターラー」の灌頂を受法した方に、特にお奨めの行法伝授です。以前にポタラ・カレッジでこの灌頂を受けた方も参加できます。
導師:ゲシェー・ソナム・ギャルツェン
日時:12月23日(金・祝)・24日(土)・25日(日)
三日間とも午後1時~6時
受講資格:チッタマニ・ターラーの灌頂受法者限定。
お問い合わせ・お申し込みは、TEL.03-3251-4090、info@potala.jpにて承わります。
11月 4日(金) 「無上瑜伽タントラ概要」のお礼
昨日、お蔭様で、特別講習「無上瑜伽タントラの概要」を無事に終えることができました。
今回は、師事作法・有暇具足・無常・帰依・十善・出離・三学・発菩提心・六波羅蜜など「ラムリム」の各テーマごとに、まず顕密共通の道という一般的視点からの説明を行ない、続いて無上瑜伽タントラの立場からの説明を加える・・・という形で、お話しさせていただきました。
四灌頂については、内容を急遽「チッタマニ・ターラー」に変更して、概要を簡単に紹介しました。「チッタマニ・ターラー」の瓶灌頂は、上師の身曼荼羅によって授けるという独特の方式で、一般的な無上瑜伽タントラの瓶灌頂とは大きく異なっています。法王猊下の灌頂の内容変更について、前日に聞いて慌てましたが、何とか間にあってよかったです;
御参加くださった熱心な受講者の皆様に、心より感謝したいと思います。
10月19日(水) グヒヤサマージャ立体曼荼羅
六本木ヒルズ53Fの森美術館で、グヒヤサマージャ(秘密集会)立体曼荼羅が展示されています(来年1月5日まで)。ギュメー寺の流儀によるものです。触ってはいけないけれど、指で触れられるほど間近に見られます。
無上瑜伽タントラの灌頂受法者には、是非拝観をお勧めしたいです。成就法の観想に不可欠な要点を、数多く学べます。前もって本サイトの記事「曼荼羅とは何か」を御覧になってから拝観なさると、理解が深まるのではないかと思います。
他にチベット密教関係では、ヤマーンタカやチャクラサンヴァラなどの所描曼荼羅があります(時期によって入れ替えがあるようです。昨日私が訪れたときは、チャクラサンヴァラが展示されていました)。立体曼荼羅を含め、これらは北村太道先生のコレクションです。
それ以外に、日本の両界曼荼羅などもあります。こうした仏教関係の展示は、順路の最初の部屋に集められています。
詳しい情報は、森美術館のサイトを御参照ください。
http://www.mori.art.museum/contents/universe_art/
10月 7日(金) 秋からの定期講習の案内ページ
ポタラ・カレッジ公式サイトに、秋からの定期講習の案内ページをアップしました。
こちらを御覧ください。
10月20日(木)から順次スタートします。
今回は、「秘密集会二流儀成就法の講読」、「秘密集会生起次第の解説」、「前行道場 曼荼羅供養」、「文殊ナーマサンギーティの解説」、「ロジョン・ニメー・ウーセルの解説」、「チベット仏教入門 教えと瞑想」の6科目が新規開講です。
10月 4日(火) 起心書房の新刊2冊
ポタラ・カレッジの会員でもある安元剛氏の起心書房から、チベット仏教に関連する2冊が出版されました。
1.『般若心経註釈集成』渡辺章悟・高橋尚夫 編
ISBN978-4-907022-09-9 A5版382ページ 8,200円+税
インドとチベットの学僧たちによる『般若心経』註釈書の和訳と解説です。
収録されているのは、カマラシーラ註、ヴィマラミトラ註、シュリーシンハ・ヴァイローチャナ註、ジュニャーナミトラ註、プラシャーストラセーナ註、アティーシャ註、シュリーマハージャナ註、ヴァジュラパーニ註、ゴク・ロデン・シェーラプ註、ロントゥン・シェーチャ・クンリク註、ターラナータ註の十一本。
わが国の仏教書で『般若心経』をテーマとするものは甚だ数多くありますが、インド-チベットの大乗仏教の伝統に基づく諸々の註釈書を和訳・解説して一冊に集成した本は、今までに一つもありませんでした。それだけに、今回の出版は、とても画期的なことだといえるでしょう。
2.『初会金剛頂経概論 “タントラ義入”の研究』北村太道 著
ISBN978-4-90702210-5 A5版1234ページ カラー図版14ページ 17,000円+税
『真実摂経(金剛頂経・初会)』に関するブッダグヒヤの註釈書『タントラ義入』、及びパドマヴァジュラの復註の全訳。関連する論文十四本も収録。
この本は、厚さ7センチ超の大著です。まさに北村先生の長年に渡る御研究の集大成というべき、非常に有意義な出版だと思います。
「金剛頂経」として日本密教で伝統的に用いられている不空訳三巻本は、『真実摂経』の冒頭部分だけを漢訳したものであり、微細瑜伽や無相瑜伽などが入っていません。『タントラ義入』では、『真実摂経』の釈タントラと位置づけられる『金剛頂タントラ(金剛頂経・第二会、第三会)』の所説にも言及しながら、微細瑜伽や無相瑜伽の行法を説いています。これらが揃うことにより、ツォンカパ大師が『ガクリム・チェンモ』第四品で解説なさっているような、顕密共通の五道、及び無上瑜伽タントラの二次第と対照し得る瑜伽タントラの行法の枠組みが明らかになってきます。
チベット密教サイドから、この本を学ぶときの、一つポイントだといえます。
詳しくは、起心書房のサイトを御覧ください。
http://kishin-syobo.com/
10月 2日(日) 定期講習案内書、発送しました
ポタラ・カレッジ東京センターの定期講習は、4月下旬に始まった学期が、一昨日までで全て終了しました。受講者の皆様の求法心と精進努力に、心より随喜したいと思います。
そして昨日、新しい案内書・申込書を、会員の方々等へ発送しました。今週の前半には届くと思います。会員以外の方にも、御請求があればお送り致しますので、遠慮なくおっしゃってください(info@potala.jp)。
来期は、10月20日(木)からスタートです。
9月20日(火) 訃報 ゲン・ギャツォ猊下
大変悲しいお知らせです。
大本山デプン寺ロセルリン学堂の元僧院長(ケンスル・リンポチェ)ゲシェー・ロサン・ギャツォ猊下が、9月19日に御示寂の理趣をお見せになりました。
猊下は、ポタラ・カレッジの招聘で幾度も御来日され、『入中論』、『量評釈』、『倶舎論』など貴重な教えの数々を授けてくださった偉大な善知識です。
ここに謹んで、猊下の深い御恩に感謝を捧げるとともに、有縁の所化をお導きになるため、再びこの世界で化身の御事業をお続けくだるよう、心より祈願したいと思います。
ポタラ・カレッジ東京センターでは、9月25日(日)午後6時45分から実施する定例法要を、ケンスル・リンポチェの追悼法要として厳修します。
どなたでも御参加いただけます。特に、ケンスル・リンポチェの教えを受けた皆様は、法友の方々へもお知らせいただけると有難いです。
なお、ケンスル・リンポチェの御説法「唯識と中観」が、『チベット仏教高僧法話集』(ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書7)pp.80-87に収録されているので、リンポチェの遺徳を偲ぶため御一読をお勧め致します。
9月13日(火) 秋から秘密集会のコース開講します
ポタラ・カレッジ東京センターで10月下旬からスタートの定期講習、「グヒヤサマージャ(秘密集会)」に関するコースを二つ実施します。
これは、今秋ダライ・ラマ法王猊下による無上瑜伽タントラの灌頂が大阪で厳修されること、そして来年春にはポタラ・カレッジ東京センターで高僧による「秘密集会」大灌頂を予定していることを考慮しての開講です。
灌頂を受けてから、「秘密集会」の修行をどう実践するか、その中身を具体的に学べるコースです。
一つは、私が担当する「秘密集会二流儀の成就法講読」(日曜午前11時〜12時30分)。宗祖ツォンカパ大師御自身がまとめた「秘密集会」の二つの成就法、聖者流の『清浄瑜伽次第』とジュニャーナパーダ流の『文殊密意明示』を、併行して対照しながら読み解いてゆきます。
もう一つは、ゲシェー・ソナム師担当の「秘密集会生起次第の解説」(土曜午後5時〜6時30分)。こちらは、アク・シェーラプ・ギャツォ師の註釈に基づいた生起次第の詳しい行法解説です。
いずれも通信受講併用。無上瑜伽タントラの灌頂を受けている方のみ受講できます(今まで無上瑜伽タントラの灌頂を受けていなくても、11月に法王猊下から「チッタマニ・ターラー」の灌頂を受法すれば参加可能です)。
お問い合わせは、TEL.03-3251-4090、info@potala.jpまで。