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善通寺灌頂会

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2023 善通寺 チベット密教灌頂会の記録

 弘法大師空海の御誕生所である総本山善通寺〈真言宗善通寺派・香川県〉で、2023年12月16日から20日まで、「善通寺チベット密教灌頂会」が実施されました。これは、「弘法大師御誕生1250年記念」の一環として行なわれたものです。
 現代チベット仏教界を代表するゲルク派の高僧チャト・リンポチェ猊下を招聘し、「薬師如来の許可灌頂」や「秘密集会大灌頂」が厳修されました。主催は真言宗善通寺派の僧侶有志などによる善通寺道燈会(鈴木道巌会長)で、総本山善通寺とチベット仏教普及協会(ポタラ・カレッジ)が協力する形での開催です。

善通寺チベット密教灌頂会 案内書
善通寺チベット密教灌頂会の案内書。図像は、ギュトゥー寺の流儀による秘密集会三十二尊曼荼羅。
 
善通寺 菅智潤法主猊下のご挨拶

大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下の略歴


 このページでは、善通寺道灯会から御提供いただいた貴重なお写真も交え、灌頂会の記録をまとめてあります善通寺での諸行事の終了後に、ポタラ・カレッジ東京センターで実施した「チャクラサンヴァラ大灌頂」等については、こちらを御覧ください)。


秘密集会本尊

秘密集会本尊 阿閦金剛と触金剛女の父母尊
(向かって左上はチャクラサンヴァラ、上中央は宗祖ツォンカパ大師、右上はヤマーンタカ。秘密集会、チャクラサンヴァラ、ヤマーンタカは、ゲルク派密教の三大本尊とされています。下はゲルク派ゆかりの護法尊で、向かって左からタムチェン・チューギェル、六臂マハーカーラ、ペルデン・ラモ)

1.善通寺御到着~諸堂御参拝

 大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下御一行は、12月13日(水)に、総本山善通寺へ御到着になりました。

大玄関

大玄関
 善通寺の法主猊下や部長様方が、大玄関でお出迎えくださいました(中央は菅智潤法主猊下、向かって左は佐伯行茂財務部長、右は長谷川恵淳教学部長)。 photo:善通寺道灯会


菅智潤法主猊下とチャト・リンポチェ猊下

カタの贈呈
 「カタ」という絹布をやり取りする、チベット式の御挨拶。 photo:善通寺道灯会


御影堂内陣

御影堂内陣
 到着されてすぐ、弘法大師御誕生の霊跡、西院御影堂の内陣を御参拝。 photo:善通寺道灯会


奥殿に礼拝

奥殿に向かって礼拝
 御影堂の奥殿は、1250年前に空海がお生まれになった、まさにその場所とされています。 photo:善通寺道灯会


御影堂内陣の大壇と荘厳

御影堂内陣の大壇と荘厳 photo:善通寺道灯会


御影堂の御参拝を終えて

御影堂の参拝を終えて
 チャト・リンポチェは、ダライ・ラマ法王猊下のお勧めにより、チベット密教の世界で比較的手薄な瑜伽タントラ(初会金剛頂経など)や行タントラ(大日経など)の研究にも携わってこられました。これらの分野は、ちょうど日本密教の一番中心となる部分なので、リンポチェは以前から、弘法大師の教えや御事績に深い関心と恭敬の念を持っていらっしゃいます。ですから、今回初めて空海御誕生の聖地を参拝なさる機会を得られて、感慨もひとしおだったことと拝察致します。 photo:善通寺道灯会


五重塔

五重塔など東院伽藍を御参拝
 総本山善通寺の境内は、東院と西院に分かれています。御影堂などがある西院は、空海の生家だった場所です。後世に寺院が建立され、弘法大師の御誕生所として、人々の篤い信仰を集めています。
 金堂や五重塔がある東院は、唐への留学から帰国した空海が、長安の青龍寺を模して真言密教の根本道場を開いた場所です。堂塔伽藍は近世に再建されたものですが、空海御自身のお考えによって創建された最初の本格的な密教寺院という点で、極めて重要な霊跡と位置づけられます。
向かって左から、随行のゴンポ師、善通寺道灯会の鈴木道巌会長、大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下、執事長のゲシェー・トゥプテン・タシー師、ポタラ・カレッジのクンチョック・シタル師) photo:善通寺道灯会


大楠

大楠(香川県天然記念物)
 東院の境内には、大楠の御神木が2株あります。寺伝では樹齢千数百年といわれているので、これらの大楠だけが、空海御在世の当時から残っている・・ということになります。この写真の大楠の根もとには、五社明神の祠があります。 photo:善通寺道灯会

2.説法会「菩薩行について」

 今回の「善通寺チベット密教灌頂会」は、西院の境内にある遍照閣で行なわれました。

遍照閣

遍照閣
 1階は四国八十八ヶ所のお砂踏み道場で、チベットの薬師如来砂曼荼羅も安置されています。2階は弘法大師を御本尊とする大広間。期間中は、建物全体が「チベット密教灌頂会」の会場となりました。 photo:齋藤保高


説法会 菩薩行について

12月16日(土) 説法会「菩薩行について」
 御本尊の弘法大師像が見守ってくださる中で、「チベット密教灌頂会」の諸行事が始まりました。まず初日は、顕密共通の道を説く御法話「菩薩行について」。
 菅智潤法主猊下(写真手前)は、大変御多忙なお立場にもかかわらず、この日から最終日まで全ての教えに御臨席なさって受法されました。非常に稀有なることであり、真心からの敬意をもって随喜致したいと思います。 photo:善通寺道灯会

*     *     *

 ところで私(齋藤)は、東京での灌頂の準備などを一段落させて善通寺へ向かい、16日午後の説法会から参加させていただく予定でした。しかしながら、この日は物凄い強風で、JR瀬戸大橋線が午前中から計画運休となってしまいました。今まで公開講座などで10回近く善通寺を訪問していますが、このようなことは初めてです。幸い瀬戸内海のフェリーは運航していたため、小豆島経由で四国へ渡ることができたけれど、説法会には間に合いませんでした。そういうわけで、私は16日の夕方から合流させていただきましたので、自分自身の体験として語ることができるのは、これより後の内容となります。

3.御影堂の朝勤行

 御影堂では毎日欠かさず、法主猊下の御親修で朝勤行が行なわれています。『理趣経』の読誦を中心とする御法楽です。午前6時開始で、堂内はかなり冷え込んでいます。

朝勤行1

朝勤行2

朝勤行3

 チャト・リンポチェ猊下も、御自身の時間が許す17日まで、朝勤行に御臨席なさいました。奥殿の前で五体投地されてから、内陣に御着座されたところのお写真です。(リンポチェのお隣は、高野山大学元学長で善通寺道灯会の顧問をお引き受けくださった藤田光寛師) photo:善通寺道灯会

4.薬師如来の許可灌頂

 12月17日(日)、善通寺金堂の御本尊が薬師如来であることの御縁で、一般向けの灌頂として七仏薬師の許可灌頂が厳修されました。

七仏薬師

薬師瑠璃光如来を主尊とする七仏薬師のタンカ(仏画) photo:善通寺道灯会


七仏薬師のトルマ

許可灌頂の法儀で用いる七仏薬師のトルマ photo:齋藤保高

 この日の受者全員へ、善通寺金堂御本尊・薬師如来坐像の御影が授与されました。これは広く頒布されてはいない貴重なもので、私も頂戴できて嬉しかったです。
 現在の金堂御本尊は、元禄時代の名仏師・北川運長により、1700年に造られたといいます。総高6.5メートル、本当に立派なお姿で、しかも表情が生き生きとしています。もし参詣される機会があったら、必ず堂内へ入り、ゆっくり拝むようにお勧めします。きっと、身も心も浄化された思いになるはずです。


薬師如来砂曼荼羅

薬師如来砂曼荼羅
 遍照閣の1階に安置されています。以前に大本山デプン寺ゴマン学堂の僧侶たちが作壇したもの。普段でも、お砂踏み道場の奥で拝観できます。 photo:齋藤保高

5.秘密集会大灌頂

 12月18日(月)から3日間は、「秘密集会」聖者流の大灌頂が厳修されました。1日め(12/18)は準備行、2日め(12/19)は瓶灌頂の前半、つまり五智如来の金剛弟子灌頂まで、3日め(12/20)は金剛阿闍梨灌頂から第四灌頂まで全て円満に成就しました。
 秘密集会の大灌頂を授けていただくことは、善通寺道灯会の側でも希望していたのですが、実はチャト・リンポチェ猊下の方から御提案くたさったことなのです。リンポチェは、日本密教の開祖である弘法大師の教えにも強く関心をお持ちになり、広義の「金剛頂経」を紹介する『十八会指帰』の第十五会が「秘密集会」となっていることもよく御存じです。それで、「弘法大師御誕生所の善通寺で行なうならば、秘密集会がよいのでは」とおっしゃってくださったのです。

弘法大師と秘密集会

弘法大師と秘密集会
 会場の遍照閣2階には、もともと御本尊として弘法大師像が安置されているのですが、今回その隣りに秘密集三十二尊のタンカを掛けさせていただいたので、まさしく「十八会指帰」第十五会の世界が顕現したことになります(『十八会指帰』についてここで詳しく説明する余裕はありませんが、初心者向けの概説としては、頼富本宏『『金剛頂経』入門』大法輪閣のpp.322-332「空海と金剛頂経」が分かりやすいです)。
 この世界観からすると、いま私たちがチベット仏教の伝統を通じて「秘密集会」など無上瑜伽タントラを学修していることは、1200年の昔に弘法大師が見据えていらっしゃった世界ということになります。そのような思いを、チャト・リンポチェ猊下、善通寺道灯会、ポタラ・カレッジで共有していたからこそ、今回善通寺での大灌頂が実現した・・ということもできるかと思います。 photo:齋藤保高


供養壇

供養の壇
 秘密集会の諸尊に捧げるトルマと数々の供物。会場の広さに十分な余裕があるため、リンポチェのお考えで、今回の供養はチベットの僧院並みの丁寧さで行ないました。これは、スペースに全然余裕のないポタラ・カレッジ東京センターでは、非常に困難なことであり、まことに羨ましい限りです。 photo:齋藤保高


自灌頂の修法

自灌頂の修法
 密教の灌頂法儀を厳修するためには、事前の準備が数多くあります。特に大阿闍梨は、弟子へ灌頂を授けるに先だち、我生起の本敏瑜伽を行じ、自灌頂や瓶生起などを修法しなければいけません。そうした準備が全て整ってから、受者を会場へ迎え入れることになります。写真は2日めの午前中、大阿闍梨が自らへ灌頂を授ける「自灌頂」の修法風景。 photo:善通寺道灯会


秘密集会大灌頂

秘密集会大灌頂
 大阿闍梨の宝座をはじめ、灌頂法儀に必要な諸々の準備は、善通寺の御担当者の方々が1年以上かけて工夫してきた成果で、とても素晴らしいものになりました。大型ディスプレイが2台設置され、後方の席からもよく見えるようになっています。
 写真右は通訳のクンチョック・シタル師、左は随行のゴンポ師とポタラ・カレッジのガワン・ウースン師。 photo:善通寺道灯会


受者席

大師御宝号の唱和
 休憩後に法儀を再開するときには、リンポチェの御発案により、毎回5分ほど弘法大師の御宝号を全員でお誦えしました。このようにして、会場が「十八会指帰」第十五合の世界となってゆく中で、「秘密集会」大灌頂の法儀が厳修されたのです。
 写真で受者たちが額にかけているのは、曼荼羅を観見する前の目隠しとなる赤巾です。チベット密教の伝統では、実際に目を隠すのではなく、象徴的にこういう形で用います。 photo:善通寺道灯会


瓶灌頂

瓶灌頂
 無上瑜伽タントラの大灌頂は、瓶灌頂・秘密灌頂・般若智灌頂・第四灌頂の順で授けられます。第一の瓶灌頂は、前半が五智如来の金剛弟子灌頂、後半が金剛阿闍梨灌頂です。前者は、阿閦如来の水灌頂、宝生如来の宝冠灌頂、阿弥陀如来の金剛灌頂、不空成就如来の鈴灌頂、大日如来の名号灌頂の順になります。
 写真は、瓶灌頂の最初となる阿閦の水灌頂。今回は、大阿闍梨御自身が受者席を巡り、一人一人の頭頂に水瓶を置くやり方で授けてくださいました。 photo:善通寺道灯会


菅智潤猊下と藤田光寛師

本尊の装束
 受者の筆頭として、菅智潤法主猊下に、本尊の宝冠や衣など一式を着用していただきました。お隣は藤田光寛師。 photo:善通寺道灯会


金剛鈴の灌頂

不空成就の鈴灌頂
 承仕のゲシェー・トゥプテン・タシー師が、灌頂材の金剛鈴を受者たちに見せています。この後、全員が鈴に手を触れて鈴灌頂を授かります。 photo:善通寺道灯会


金剛阿闍梨灌頂

金剛阿闍梨灌頂
 瓶灌頂後半の金剛阿闍梨灌頂では、金剛・鈴・印契の三三昧耶を授かります。受者筆頭の法主猊下に、本尊の装束で阿闍梨の座へお着きになっていただきました。 photo:善通寺道灯会


法主猊下の御挨拶

法主猊下の御挨拶
 最終日(12/20)、大灌頂成満にあたり、菅智潤法主猊下より御挨拶を賜わりました。
 チャト・リンポチェ猊下と菅猊下は、お互いに相手側の法流を本心から尊重なさっている御様子がよく見て取れ、それぞれの道を窮めた高僧どうしの交流を間近に拝見できたことは、私のような凡俗の者にとっても本当に素晴らしい体験となりました。
 チャト・リンポチェ猊下は、前に紹介したように、御自身の時間が許す薬師如来許可灌頂の日までは、御影堂で菅法主猊下が親修される朝勤行に御臨席され、ともに弘法大師へ御法楽を捧げられました。
 菅法主猊下は、灌頂会の全日程を受者筆頭として御参加なさり、曼荼羅供養を幾度もお勤めくださいました。リンポチェと菅猊下のこうしたお振る舞いは、社交辞令的な敬意などとは全く次元の異なる、真の意味での仏法の尊重であり、傍らで拝見していて本当に深い感銘を受けました。 photo:齋藤保高


大灌頂成満

大灌頂成満
 灌頂法儀の終了後、受者の方々から大阿闍梨にカタを奉献して御挨拶する機会も設けられました。
 写真は、受者の御挨拶が一とおり終わり、今回最大の功労者の一人である佐藤浄圭師の御尽力を、リンポチェから労っているところです。 photo:善通寺道灯会


 大灌頂の受者全員へ、受法記念として「吉祥秘密集会曼荼羅」が授与されました。これは、ポタラ・カレッジ会員でもあるグラフィックデザイナーの内田芳美さんが、デジタル環境で製作したものです。砂曼荼羅の写真から模写したような作り方ではなく、チベット文の線引き儀軌と彩色儀軌を学び、伝統的な手順どおり下絵から丁寧に描き起こしたものです。描画の流儀としては、ギュトゥー寺の伝統に則しています。全て儀軌どおり忠実に描かれていながら、全体として現代的な洗練されたイメージになっているところは、流石だなと思います。

6.報謝

 12月19日(火)の昼前、多忙なスケジュールの合間に、報謝の会合が行なわれました。

御影堂と聖霊殿

西院の境内
 写真右の建物が御影堂、左は聖霊殿。「弘法大師御誕生1250年記念祭」の期間中、御影堂の御本尊「瞬目(めひき)大師」が聖霊殿に場所を移して御開帳され、私自身も6月に拝観させていただきました(2023年6月15日のブログ記事参照。こちらです)。 photo:善通寺道灯会


仏塔の献呈

仏塔の献呈
 チャト・リンポチェ猊下から菅法主猊下へ、仏塔を奉献しています。 photo:善通寺道灯会


記念写真

菅智潤法主猊下と大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下を囲んで
 後列向かって左から、鈴木道巌師(善通寺道灯会会長)、佐藤浄圭師(善通寺チベット密教灌頂会担当)、佐伯行茂師(善通寺財務部長)、長谷川恵淳師(善通寺教学部長)、藤田光寛師(高野山大学名誉教授)、ゲシェー・トゥプテン・タシー師(チャト・リンポチェ執事長)ゴンポ師(チャト・リンポチェ随行僧)、クンチョック・シタル師(ポタラ・カレッジ副会長)、齋藤保高(ポタラ・カレッジ)。 photo:善通寺道灯会


五重塔夕景

五重塔夕景 photo:齋藤保高

 善通寺での全日程を終え、チャト・リンポチェ猊下御一行は、12月21日(木)の朝に空路東京へ向かわれました。
 私自身はひと足お先に、20日の夜行列車で帰路につきました。

*     *     *

 今回の善通寺に於ける「チベット密教灌頂会」が成功裏に成満したのは、まさに数多くの方々の御尽力の賜物です。まず、発願者である善通寺道灯会の鈴木道巌会長が、並々ならぬ熱意で諸課題に取り組まれてきたからこそ、コロナによる様々な障害を乗り越えて灌頂会実現に至った点は、特筆しなければいけません。
 鈴木会長の恩師である藤田光寛先生(高野山大学名誉教授)には、善通寺道灯会の顧問として御指導いただきました。藤田先生は、高野山大学が2011年にダライ・ラマ法王猊下を招聘して金剛界の大灌頂を厳修したときの学長です。私自身は先生と初対面でしたが、灌頂会の期間中ずっと御一緒させていただき、いろいろお話を伺えたことは、まことに光栄の限りです。
 総本山善通寺の側では、菅智潤法主猊下の御庇護のもと、実務を取り仕切った三好智秀師と佐藤浄圭師の御苦労と御努力が、最大の貢献であったことは間違いありません。「弘法大師御誕生1250年」という極めて多忙な時期に、「チベット密教灌頂会」の準備と運営を精力的に推進してくださったことには、本当に頭が下がる思いです。
 善通寺では、実質的に全山をあげた支援態勢をとってくださり、そのお蔭で円滑な運営が可能になった点も特筆すべきことです。
 ポタラ・カレッジでは、クンチョック・シタル師が、コーディネータと通訳を兼任する形で、企画の最初から努力してきました。特に灌頂会が始まってからは、連日の通訳が大変だったと思います。ガワン・ウースン師は、会場に於ける灌頂の準備やリンポチェ御一行のお食事などに尽力しました。
 また、ポタラ・カレッジの会員・受講者有志の方々が、クンチョック師とガワン師を助けて、手際よく各方面の貢献をしてくださいました。本当に有難い限りです。
 さらに、高野山の宮島基行師やギュメー寺で学修している板野弘映(テンジン・ケンツェ)師には、灌頂法儀の助法や供養の準備などに携わっていただきました。
 そして何よりも、受者として御参加くださった皆様の尊い求法心と御理解・御協力があってこそ、今回のチベット密教灌頂会が無事に成満できたことは言うまでもありません。

 以上、2023年12月の「善通寺チベット密教灌頂会」の御紹介はここまでです。
善通寺での諸行事の終了後に、ポタラ・カレッジ東京センターで実施した「チャクラサンヴァラ大灌頂」等については、こちらを御覧ください

そして年明け、京都・東寺

 善通寺の菅智潤法主猊下が、令和六年の後七日御修法で大阿闍梨をお勤めになりました。

後七日御修法

 「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」は、毎年正月の8日から14日までの七日間、真言宗総本山 東寺(教王護国寺)灌頂院で厳修される真言宗最高格式の大法会です。弘法大師空海が宮中の真言院で修法なさって以来の伝統が、今日まで継承されています。
 後七日御修法には、15名の阿闍梨が出仕されます。どなたも、一宗派の管長や大本山の貫主など、名だたる高僧ばかりです。その中でも、金剛界(令和6年の場合)の大壇で修法なさる大阿闍梨は、その一年間「真言宗長者」、つまり真言宗全体を代表する名誉職となられます。弘法大師空海の後継者というお立場です。令和6年の大阿闍梨は、総本山善通寺の菅智潤法主猊下(真言宗善通寺派管長)がお勤めになりました。チベット仏教に深い御理解をお示しくださる高僧が、今年の真言宗長者となられたのは、自分としても非常に嬉しいことで、蔭ながら心より随喜してお祝い申し上げたいと思います。
 お写真は、中日となる1月11日(水)に東寺を参拝し、昼の座の御行列を拝ませていただいたときのものです。大阿闍梨の後ろに従う白い衣の僧侶たちが持っているのは、国宝の五鈷杵と五鈷鈴。空海が唐から招来したと伝えられるもので、後七日御修法のときだけ大阿闍梨が実際に用いるそうです。 photo:齋藤保高

大灌頂受法後の修行

 今回の「秘密集会大灌頂」の三昧耶(大阿闍梨との誓約)は、「六座グルヨーガ」を毎日昼夜に修行することです。また大灌頂成満後に、チャト・リンポチェ猊下御自身が、秘密集会の最も簡略な成就法「修習念誦常携」の阿含相伝(ルン)を授けてくださいました。
 秘密集会大灌頂を受けた後の修行として、「六座グルヨーガ」は三昧耶ですから、必ず実修する必要があります。「修習念誦常携」は三昧耶になっていないので、必須ではありませんけれど、秘密集会の仏縁を深める効果的な行法です。それゆえ、これらの内容をよく学んで正しく修行すれば、大灌頂を受法した貴重な体験を、今後の人生で有意義に生かしてゆくことができます。
 そのための機会として、総本山善通寺で3月7日(木)・8日(金)の両日「六座グルヨーガ」講習会が開催されます。録画による通信受講も可能です。講師は私が務めさせていただくことになりましたので、分かりやすい丁寧な説明を心がけたいと思います。また、成就法「修習念誦常携」の講習も、改めてその後に企画されることになるかと思います。お問い合わせ等は下記まで。
善通寺道燈会
〒765-8506 香川県善通寺市善通寺町3-3-1 総本山善通寺御内
TEL.0877-62-0111(担当:三好智秀師

【お知らせ】 本サイトの無上瑜伽タントラ灌頂受者限定のページ(パスワード認証)では、大灌頂受法後にまず修行すべき「六座グルヨーガ」について、実修上の参考となる記事を掲載してあります。入口はこちら

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