ポタラ・カレッジ齋藤保高の個人サイトです。チベット仏教の伝統教学について、質の高い情報を提供します。

過去のブログ(2011.3-)

現在のブログへ  2011年9月以降のブログへ  2011年2月以前のブログへ

過去のブログ (2011年3月~8月)

8月30日(火) 教相判釈

仏教の様々な経典や教えなどを比較して、浅深の序列をつけることを、教相判釈といいます。日本を含む漢訳仏教圏で盛んですが、チベット仏教にも似たようなものがあります。
例えば、ニンマ派独特の九乗の分類は、一種の教相判釈といえるかもしれません。
ゲルク派の場合、そのようにまとめた言い方はありません。でも、「ラムリム」で三士を設定し、上士たる大乗の特に優れた道として密教を位置づけ、それをまた四部タントラに分類する・・・という体系は、意味として教相判釈の役割りを果たすと思います。宗祖ツォンカパ大師は、無上瑜伽タントラの中でも、「グヒヤサマージャ」聖者流を、あらゆる仏法の頂点と位置づけています。

ゲルク派のこうした体系やニンマ派の九乗は、基本的に、自宗派内にある様々な教えの浅深を序列化したものです。他宗派との比較で自らの優位を主張するものではありません。この点で、漢訳仏教圏の教相判釈とは、少し意味あいが異なるかもしれません。

仏教に様々な宗派や法流があるのは、もとをただせば、お釈迦様の対機説法に由来します。衆生の性格や関心や前世のカルマなどは、まさに千差万別です。それらに合わせて、お釈迦様が、様々な特色のある教えを説いたということです。
私は、自分自身に関していえば、ゲルク派の教えが一番だと思っています。だから、「グヒヤサマージャ」聖者流を頂点とする体系が、私の教相判釈の「見え方」です。
しかし同時に、皆が自分と同じわけではないという点も、よく理解しているつもりです。例えば、ニンマ派の修行者が九乗の教相判釈に基づいて「ゾクチェンがあらゆる仏法の頂点だ」と言っても、私は決してそれを否定しないでしょう。

教相判釈のようなテーマの場合、相手の位置からの「見え方」を知ることが大切です。それが相手に一番合っているなら、自分の位置からの「見え方」と同じでなくても、いっこうに構わないのです。
本当に大切なのは、各自がそれぞれ自分に合った道を修行し、衆生のために仏陀の境地を得ることなのですから。

8月24日(水) 宮坂宥洪先生、宗教・学術顧問に

22日、ポタラ・カレッジの会長ゲシェー・ソナム・ギャルツェンと副会長クンチョック・シタルが、真言宗智山派の名刹照光寺(長野県岡谷市)に参拝し、御住職の宮坂宥洪師(智山伝法院副院長)を表敬訪問致しました。
その際、ソナム、クンチョック両名より御住職様へ、チベット仏教普及協会(ポタラ・カレッジ)の宗教・学術顧問をお引き受けくださるようにお願い申し上げたところ、御快諾いただきました。御厚情に、心より感謝致します。
宮坂宥洪師は、日本、インド、チベットの仏教に精通した碩学でもあり、『ダライ・ラマ 実践の書』『ダライ・ラマ 般若心経入門』、『ダライ・ラマ ゾクチェン入門』などの訳者としても知られています。

照光寺先代御住職の宮坂宥勝猊下(総本山智積院第六十八世化主・名古屋大学名誉教授)は、ポタラ・カレッジ設立時に宗教・学術顧問をお引き受けくださり、以来様々な形で御指導・御支援をいただいた大恩人です。惜しくも今年1月11日に遷化されたことは、このブログでもお伝えしたとおりです。

また、照光寺副住職の宮坂宥明師は、ダラムサラでチベットの伝統的なタンカの技法を習得された仏画師でもあります。

8月22日(月) チベット密教 瞑想入門

ポタラ・カレッジ会長ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師の新刊です。
チベット密教 瞑想入門』(法蔵館)。
長らく入手不能だった『チベット密教の瞑想法』(金花舎)の内容を全面改訂のうえ大巾に加筆し、四つの前行(帰依と菩提心、金剛薩埵の浄化法、曼荼羅供養、グルヨーガ)の完全な手引書として新たに刊行されました。
ポタラ・カレッジでは7月から置いていましたが、8月20日からは一般書店でも購入可能となっております。
詳しくは、こちらを。

8月19日(金) 色身成就の難しさ

前二回の記事で、「グヒヤサマージャ」聖者流が幻身の起立に効果的な行法である点を考察し、「だから宗祖ツォンカパ大師は、この流儀を格別に重視なさったのだろう」という意味のことを書きました。
そうすると、「なぜ幻身の起立がそんなに重要なのか?」という疑問が生じるでしょう。これは実に、密教そのものの存在意義に関わる問題です。

顕教の大乗仏教では、菩提心を発してから仏果を証するまでに、三阿僧祇劫という途方もない期間を要するといいます。なぜ、そんなにかかるのでしょうか? 
仏果を証するというのは、仏陀の法身と色身を同時に成就することです。どちらか一方だけということは、絶対にありません。そして、この法身と色身のうち、成就するのが甚だしく困難なのは、後者なのです。
法身を成就する因果関係は、一応分かりやすいです。空性を現量了解する智慧によって、煩悩障と所知障を断滅し尽くせば、その結果として法身が成立することになります。
ところが色身の場合、そうはゆきません。供養などの善行を積み重ねた結果として、三十二相八十種好を具足した色身が成立する・・・などと説かれていますが、供養と三十二相八十種好の間に、私たちが納得できる確固たる因果関係は見出せないでしょう。だからこそ、三阿僧祇劫というほとんど無限の時間に頼る必要があるのだと思います。

しかし密教の場合、色身を成就するための、もっと具体的な手段があります。四部タントラに共通する枠組みでは、本尊ヨーガがそうです。これは、成就すべき色身の行相を先取りし、道として修習するものです。それによって、顕教より遙かに早く仏果を証することができるといいます。
ですが、下タントラ三部はもちろん、無上瑜伽タントラでも生起次第で修習する本尊ヨーガは、あくまで意識で観想しているだけで、実際に存在する仏身ではありません。それに対し、究竟次第で起立させる幻身は、実際に存在する仏身です。そしてこれは、仏陀の色身(報身)と行相が近似しているため、その同種後続分として色身を成就できるのです。無上瑜伽タントラなら、条件が揃えば一生での成仏も可能・・・とされる所以です。

8日から今回まで述べてきたことは、非常に難しい内容です。無上瑜伽タントラの大灌頂を受けている方は、こうした事柄を少しづつ学び、その内容をよく考え、実践に生かしてゆくことが大切です。
未灌頂の方は、「そういう話もあるんだ」という程度に覚えておけば、いつか役にたつ時期が来ると思います。

8月16日(火) 幻身の秘訣

前の記事の補足を書こうと思っていて、一週間すぎてしまいました。先週はいろいろ大変だったのですが、それにしてもあっという間に8月も半ばすぎ。そうこうしているうちに、夏休みも終わってしまいそうな感じです。

さて、中有を仏身の行相で生起することに習熟しておくと、究竟次第で幻身を立ち上げる準備になる・・・という話でしたね。
前回述べたように、無上瑜伽タントラでは、基体位と果位の両方に行相を一致させて、道を修習します。道の主たるものは究竟次第であり、中有(基体位)と報身(果位)に相応する道位は、すなわち幻身です。
生起次第は、究竟次第のために心相続を熟させる手段なので、従たる道と位置づけられます。そのような関係だから、究竟次第の各内容に相応する要素が、生起次第の中に存在しなければいけません。それで、幻身に相応する要素が、「黒ヤマーリ」等では文字やナーダ、「グヒヤサマージャ」聖者流では本初仏になります。幻身は仏身ですから、それに相応する生起次第の箇所でも仏身を修習しておけば、心相続を熟させる効果が大きい・・・ということです。

聖者流究竟次第に説かれている幻身の秘訣は、この点をよく意識して生起次第や定寂身などの修習を重ねてきた瑜伽行者ならば、一言聞いただけで「あっ、なるほど!」と納得できるのではないでしょうか。そうでないと、雲をつかむような話で、「それのどこが秘訣なの?」と思ってしまうはずです。

8月 8日(月) 中有を仏身として修習すること

先週土曜に「ガクリム」のコースで、「黒ヤマーリ」成就法を概観しました。その行法の流れは、「グヒヤサマージャ」ジュニャーナパーダ流や、「へーヴァジュラ」とよく似ています。三身修道の面から吟味すると、「チャクラサンヴァラ」も大体似ています。
で、これらの共通点は何かというと、「死の法身」として空性を修習してから、「中有の報身」を文字やナーダで修習することです。その後「生有の応身」として、二つの月輪(または月輪と日輪)に母音・子音の文字鬘を布置し、そこから主尊父母を生起します。
無上瑜伽タントラの特長は、果位の三身(法身・報身・応身)のみならず、基体位の三身(死・中有・生)とも行相を一致させて修習する点です。基体位(胎生で六界具足の人間の自然な状態)で子供が生まれるためには、中有の心とその乗り物の風、及び白赤二滴(精子と卵子)が必要です。
前述の「黒ヤマーリ」などの行法では、これらのうち中有の心と乗り物の風を、文字やナーダで修習します。白赤二滴は、白と赤の月輪、または月輪と日輪です。詳細を大巾に省略して整理すると、そこへ中有を象徴する文字やナーダが入り、本尊の仏身を生起する・・・という流れです。
要するにこれらの流儀では、中有を仏身の行相では修習せず、文字等で象徴しているわけです。その一方で、白赤二滴から仏身を生起するプロセスは、大変丁寧に修習します。

さて、そうした行法の流れと正反対なのが、「グヒヤサマージャ」聖者流と「金剛バイラヴァ(ヤマーンタカ十三尊・一尊)」です。これらの流儀では、「中有の報身」として本初仏や文殊などの仏身を修習します。
究竟次第で幻身を立ち上げるために、生起次第で中有を仏身の行相で修習することは、大変効果的な心相続の習熟手段となるはずです。
宗祖ツォンカパ大師が、無上瑜伽タントラの中でも特に聖者流と金剛バイラヴァを重視なさったのは、そういう理由が大きいのではないかと思います。

8月 5日(金) 密教伝授のページについて

今回の密教伝授のページに、トクデン・リンポチェのお写真を追加しました。2枚だけですが、結構貴重な映像だと思います。
このページは、一連の伝授の記録として、この状態で保存することにしましょう。

ところで、7月14日の記事に書いたとおり、「牟尼三三昧耶荘厳」について、多分このページから入る形で、簡単な成就法を紹介したいと思います(受者限定)。少し後になってしまうかもしれませんけれど、私自身が必要性を認識していることですから、何があっても必ずやります。

7月31日(日) 初転法輪の御縁日

こんどの水曜(8月3日)は、チベット暦で6月4日。お釈迦様が最初の説法をなさった日とされています。ポタラ・カレッジでは、釈尊の偉業に随喜と感謝を捧げ、当日の午後7時45分〜9時15分に法要を厳修します。ゲシェー・ソナム師を導師に、「釈迦牟尼仏の礼賛偈」や「二十一尊ターラー礼賛経」などを読誦する予定です。この法要は、どなたでも自由に参加できます(予約不要)。『チベット仏教常用経軌集』をお持ちの方は、御持参ください。

7月29日(金) ダライ・ラマ こころの自伝

法王の新刊です。『ダライ・ラマ こころの自伝』(春秋社)。
フランスのチベット学者が、法王の未発表原稿やインタビューを整理し、解説を交えたものです。内容は、「ひとりの人間として」、「僧侶として」、「ダライ・ラマとして」という三部構成。法王のお人柄とお考えがよく分かる一冊だと思います。
訳者は、ポタラ・カレッジ会員のルトランジェ治美さん。この種の本は、英訳されたものから重訳される場合が多いのですが、本書はフランス語に堪能でチベット仏教をよく勉強されているルトランジェさんが直接日本語へ丁寧に翻訳しているから、とても読みやすいし内容的に信頼できると思います。
詳しくは、出版元春秋社のサイトで。

7月26日(火) 三昧耶戒の重大さ

このあいだの日曜、「グヒヤサマージャ成就法広本講読」のコースで、三昧耶戒の箇所を解説しました。広本の成就法では、大灌頂で三昧耶戒を授かったときと同じ偈を誦えます。
五部(五智如来)の三昧耶戒は、仏教一般や大乗一般と共通する内容も多いですが、それらを三昧耶戒として受け直すことには、大きな意味があります。なぜかというと、上二タントラ(瑜伽と無上瑜伽)の灌頂を受けた密教行者にとっては、菩薩戒ももちろん大切ですけれど、何よりも三昧耶戒こそが一番重大な誓戒だからです。これはまさに、命懸けで守らなければいけません。
密教の修行は、三昧耶戒を守ることさえできれば、基本的に易行の部類に入ります。但し、三昧耶戒を本当に守るのは、至難の業です。だから、「六座グルヨーガ」と懺悔を日々行じることが、灌頂を受けた後の実践として必要不可欠になるわけです。

「広本講読」コースは、来週から守護輪に入ります。

7月22日(金) 24日の定例法要はお休み

猛暑の中で長期間の密教伝授に参加されてお疲れの方も多いと思われるので、7月24日(日)の東京センター「定例法要」はお休みすることに致します。
定期講習の各クラスは、東京センター、大阪教室とも、全て予定どおり実施します。

7月21日(木) トクデン・リンポチェ離日

昨日の朝、成田空港で、大阿闍梨トクデン・リンポチェ猊下と随行僧チュンペル師をお見送りしました。平日の午前で悪天候にもかかわらず、ポタラ・カレッジの会員が10名ほど集まってくださいました。ラマを送り迎えすることも、福徳を積む修行になります。

大震災の傷がいまだ癒えぬ日本の地で、リンポチェが数々の貴重な法をお説きになり、その素晴らしい功徳を、災害鎮静と復興のために廻向してくださいました。それによって、目に見えない善い効果が、震災の影響で苦しんでいる方々へきっと及ぶに違いありません。

私たち密教伝授の受者は、ラマを心から恭敬し、その教えを大切に守り、金剛兄弟(ともに灌頂を受けた法友)を尊重しなければいけません。とりわけ金剛兄弟については、自分と対等の立場だから、気をつける必要があります。時には過失ばかり目についてしまうこともあるかもしれませんが、意識して相手の功徳を見るように努力しましょう。

7月19日(火) 「夏の密教伝授」全て成満

大阿闍梨トクデン・リンポチェ猊下の密教伝授は、昨日をもって、全部の行事を無事に終えることができました。まさに、リンポチェの広大無辺な御恩のお蔭です。
連日の猛暑の中、窮屈な会場で御精進された受者の皆様に、尊敬と随喜を捧げます。献身的に御奉仕くださった会員ボランティアの方々に、心より感謝致します。
「グヒヤサマージャ」をはじめとする貴重な教えの数々を、密教に深く精通したラマから直接伝授されるという、大変素晴らしい機会になったと思います。

7月17日(日) 智慧者の魅惑

昨日から始まった「グヒヤサマージャ成就法伝授」で、大阿闍梨トクデン・リンポチェ猊下が主に用いていらっしゃるペチャは、パンチェン・スーナム・タクパ大師の『智慧者の魅惑』生起次第解説です。
『智慧者の魅惑』は、「グヒヤサマージャ」に関するギュトゥー寺の公式教科書。大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師のもとで、私が「グヒヤサマージャ」二次第を学修したときも、このテキストがベースでした。
ツォンカパ大師の『安立次第解説』とケートゥプ大師の『悉地大海』を組み合わせ、要点を巧みにまとめて整理した、とても信頼できるテキストです。

連日暑いですが、成満までもう一息。体調に気をつけて、精進しましょう!

7月16日(土) 六座グルヨーガは続けることが一番

12日に、グヒヤサマージャ大灌頂を受けたら「六座グルヨーガ」を毎日修行しなければいけない点を強調しました。

それはそのとおりなのですが、今回初めて無上瑜伽タントラの大灌頂を受けた方は、あまりにも生真面目に厳しく考え過ぎないほうがよいかもしれません。
最初は、なかなかうまくゆかないのが、当たり前です。それを一々気にしていたら、とても修行を続けられません。そして、「あぁ自分にはやっぱり無理だ」と思い悩むようになり、結局全てを投げ出してしまう・・・。
こういう結末は、本当に最悪です。

そうならないためには、気持ちを楽にして、「少しづつ向上してゆけばよい」と割り切ったほうがよいでしょう。
「六座グルヨーガ」を修行する最大の目的は、三昧耶と律義を保持することです。だからこれは、決して途中で投げ出さず、ずっと続けることが一番大事なのです。
実生活の中で「六座」の修行が大きな負担となる事態も、長続きしない原因の一つです。その意味でも、12日に書いたように、なるべくスピードアップできるように訓練するのは、とても効果的だと思います。
「六座」を実修する場所は、決まった道場(例えば、自宅の仏壇の前など)でなくても構いません。私は、往復の通勤電車の中で修行することもよくあります。

7月14日(木) 肝に銘じておくべき教誡

昨日の「牟尼三三昧耶荘厳」許可灌頂では、密教行者として肝に銘じておくべき教誡が、法儀の後に与えられましたね。密教の修行を知り尽くしたラマならではの、本当に貴重な教えです。

信解あるところに仏あり。儀軌どおり行じても、信解によって観じなければ悉地なし。

密教の行の裏付けは、菩提心と空性了解の智慧。息災など四種法も、菩提心をもとに修せば効験あり。煩悩をもとに修せば罪過にしかならぬ。

こうした教誡を、簡単に考えてはいけません。その深い意味を、私たちはよくよく吟味し、少しづつ会得してゆく必要があります。

「牟尼三三昧耶荘厳」のツァカリを、密教伝授のページに貼り付けておきました。これの内容については、少し落ち着いてから、簡単な復習をしたいと思います。「所作タントラの王」と位置づけられる重要な灌頂ですから。

ところで15日(金)には、トクデン・リンポチェ猊下を大導師に、「ザムリン・チサン」を厳修します。この世界の護法善神にお香を供養する法会です。場所はポタラ・カレッジ東京センター、時間は午前10寺~12時頃。どなたでも、自由に御参加いただけます(予約不要・無料)。

7月12日(火) 六座グルヨーガの大切さ

トクデン・リンポチェ猊下もゲシェー・ソナム師も強調されていたので、改めて述べるまでもないかもしれませんが、今回「グヒヤサマージャ大灌頂」を受法した方は、毎日昼と夜に「六座グルヨーガ」を実修する必要があります。
それについては、去年4月13日の記事でも説明しており、ほとんど同じ中身になりますけれど、大変重要なことだから再掲しておきましょう。

宗祖ツォンカパ大師は、密教の修行の道筋として、「顕密共通の道(ラムリム)の修練→灌頂の受法→律義と三昧耶の保持→生起次第の実修→究竟次第の実修」という段階設定を明確にお説きになっています。
前の段階を経ずに、後の段階へ入ることはできません。また、後の段階へ入ってからも、前の段階を併行して実践する必要があります。
これらの中で、「律義と三昧耶の保持」を具体的に実践する行法が、「六座グルヨーガ」です。
そうであるなら、例えば、主に「共通の道」の実修法となる「ガンデン・ラギャマのグルヨーガ」や、或は「生起次第」の実修法である「成就法」などによって、「六座グルヨーガ」を代替することはできません。

最初のうちは、「六座グルヨーガ」の三座分の修行に、30分以上かかってしまうかもしれません。けれども慣れてくれば、10分程度で確実に実践できます。
将来的には、そのくらいのスピードを身につけるべきです。もちろん、わざと時間をかけてゆっくり瞑想するのは、とても善いことです。しかし、本格的な修行を目指すなら、急ぐ必要のあるときにスピードアップできる能力は欠かせません。「六座」の三座分に30分以上かかるペースだと、「グヒヤサマージャ」成就法の広本などは、半日たっても終わらないでしょう。
ただ、儀軌を速く読誦しても、中身の観想をないがしろにしてはいけません。だから、速く読誦する能力とともに、速く正確に観想する能力も鍛える必要があります。

「六座」を義務感だけで続けるのは、非常に辛いものです。しかし、この行法の重要性や深い意味、実践のコツなどが分かってくれば、毎日の修行も苦痛ではなくなります。
本サイトの「無上瑜伽タントラ灌頂受者のページ」の中に詳しい解説がありますから、是非活用なさってください。

なお、「グヒヤサマージャ」以外に無上瑜伽タントラの大灌頂を受けていない場合は、「六座」儀軌テキストのA8とB7は読誦する必要ありません。

7月10日(日) グヒヤサマージャ成満

「グヒヤサマージャ」大灌頂、本日無事に成満しました。大阿闍梨トクデン・リンポチェ猊下の広大な御恩、受者の皆様の御協力と会員ボランティアの御奉仕のお蔭です。心から感謝し、随喜します。

7月 9日(土) 正行

昨日の大灌頂準備行、お疲れ様でした。
今日と明日は、グヒヤサマージャ大灌頂の正行です。窮屈な場所で長時間大変ですけれど、大阿闍梨の御指導に従い、できるだけ観想することが重要です。
「全てのタントラの王」と位置づけられるグヒヤサマージャの意義をよく自覚し、素晴らしい受法体験となるように精進いたしましょう。

グヒヤサマージャ準備行
準備行開始前に注意事項を説明するゲシェー・ソナム師

7月 8日(金) 大灌頂

今日からいよいよ、「グヒヤサマージャ大灌頂」ですね。
疲れやすい時期ですから、体調に気をつけて頑張りましょう!
グヒヤサマージャは、「前行御法話」と同じぐらい混みあいます。そういうことですので、7月2日の記事と、以下同文(笑)。

あと、密教伝授のページに、また少し写真をアップしました。

7月 7日(木) 観音の化身

昨日の「ダライ・ラマ法王御誕生日法要」で、トクデン・リンポチェが、ダライ・ラマ法王を観音菩薩の化身だとおっしゃっていましたね。チベット仏教の伝統からすれば、当然のことです。

ところが最近、法王御自身が「自分は一介の仏教僧侶」とおっしゃっていることを理由に、歴代ダライ・ラマを観音の化身とする伝統的な信仰を批判する人がいます。もちろん、どういう考えを持とうと、本人の自由です。でも、仏身論などを踏まえて吟味すれば、そういう批判はあまりにも浅薄だと言わざるを得ません。

観音菩薩は、あらゆる仏陀の大慈悲を体現する本尊です。もう少し分かりやすく表現すれば、お釈迦様や阿弥陀様などの諸仏が、仏の大慈悲を衆生に示すため、菩薩の姿で現われた化身だといえるでしょう。だから「菩薩」という称号でも、修行中の菩薩ではなく、仏陀そのものにほかなりません。
従って、歴代ダライ・ラマが観音菩薩の化身であるらば、仏陀の応身だということになります。
仏陀の応身にも、二種類あります。一つは、古代インドにお生まれになったお釈迦様のように、自ら仏陀であることを明示して説法なさる在り方です。これを、「最勝応身」といいます。最勝応身は、一つの世界、一つの時代に、一人しか出現しません。この世界の、今の時代の最勝応身は、お釈迦様です。次の時代の最勝応身は、弥勒仏だといいます。従って、お釈迦様と弥勒仏の間に、自らを「仏陀だ」と公言する者が現われたとしたら、それは必然的に偽物だということになります。
一方、自ら仏陀であることを明示せずに衆生を導く「最勝応身でない応身」は、無数に存在します。それは、聖者や高僧の姿で現われたり、普通の僧侶や在家行者の姿、或は必要に応じて卑しい身分の人や動物の姿でさえ現われるといいます。そして凡夫には、誰が「最勝応身でない応身」なのかを、正しく識別できません。

これらの諸点を考え合わせれば、ダライ・ラマ法王が自ら「観音の化身だ」とおっしゃらないのは、当然のことです。最勝応身ではないのですから。
「一介の僧侶」とおっしゃっているのは、「一介の僧侶の姿で現われた」という意味に解釈できます。つまり、「一介の僧侶」とおっしゃっていることと、観音の化身であることは、必ずしも矛盾するわけではありません。
そもそも凡夫は、誰かのことを「仏陀の応身でない」と断定はできません。任意の誰かについてそうならば、ダライ・ラマ法王のような高徳のラマを「観音の化身でない」と、一体どうやって断定できるのでしょうか?

以上は、仏教の理論から明確に言えることです。
ただ、逆もまた然りで、凡夫は誰かを「仏陀の応身だ」と断定することもできません。
そうであっても、偉大な高徳のラマを「きっと仏陀の応身に間違いないだろう」と信じて恭敬することは、私たちの側で功徳を積む修行になるのです。

今回述べたことと、チベット仏教の転生活仏制度と、密教で自分のラマを仏陀そのものと信解すべきことの三者は、密接に関連してはいますが、それぞれ区別して考えるべきです。

7月 6日(水) 空であり幻の如く顕現している

昨日の「不動明王許可灌頂」は、「普賢行願賛」に基づく七支分の解説などもあって、巾広い内容の教えでしたね。
さて、許可灌頂の中で、「生起した本尊は、空だから実体が無く、幻のように顕現している」という趣旨のお話がありました。これは、灌頂法儀でいつも説かれますが、ともすると誤解しやすい内容です。
その件については、去年3月30日のブログ「空だから存在しない?」という記事で触れています。
ほとんど同じになってしまいますが、大事なことだから、要点を再度ここにまとめてみましょう。

ラマが「生起した本尊は、空だから実体が無く、幻のように顕現している」とおっしゃったのを聴いて、「本尊や曼荼羅は、心にイメージしただけのもので、実際に存在しているわけではない」と思ってしまうのは、正しくありません。
「実体の無い空」であるのは、自分自身も同じです。
もちろん自分は、実際に存在しています。だからこそ、あれこれ考えたり行動したりできるのです。
けれども、自分の実体を徹底的に追求すれば、「これだ」と掴めるものは何一つありません。それで、「空」や「無我」と言うわけです。
本尊や曼荼羅も、同じです。実体を徹底的に追求すれば、何も得られません。だから、本尊や曼荼羅は空です。しかし、そのように実体性を追求しなければ、本尊や曼荼羅は確かに存在します。

「実体を追求すれば何も得られないけれど、実体を追求しなければ確かに存在する」という在り方が、「幻のように顕現している」ということにほかなりません。
リンポチェが、「全くの無ではない」、「縁起として成立している」、「効果的作用がある」などとおっしゃったのも、この在り方を指しています。

自分や日常世界と、本尊や曼荼羅という、この両者にどのくらい堅固な存在感を付与するかは、各自の考え方によって異なると思います。例えば、俗的な価値観の人は、前者を実体視しするでしょう。そして、「本尊や曼荼羅は、心にイメージしただけのもので、実際には存在しない」と思ってしまいます。一方、宗教的な思い入れの強い人は、後者を実体視するかもしれません。そして、「日常世界は空だけれど、本尊や曼荼羅こそは究極の実体だ」と思ってしまいます。
しかし、そのどちらも正しくありません。本当は両者とも、「空であり、幻のように顕現している」のです。
さらにもっと言えば、認識する心の状態に相応し、同じ対象が凡俗の日常世界ともなるし、本尊の曼荼羅ともなります。そして、その認識する心もまた、「空であり、幻のように顕現している」のです。
こうした点について考察を深めてゆけば、密教の本尊ヨーガの仕組みをよく理解できると思います。

7月 4日(月) ダライ・ラマ法王御誕生日法要

7月6日は、ダライ・ラマ法王のお誕生日です。

以前にもお知らせしましたが、当日の午後6時30分~8時30分にポタラ・カレッジ東京センターで、「ダライ・ラマ十四世法王テンジン・ギャツォ猊下 御誕生日慶祝・御長寿祈願法要」を実施します。
現在来日中の高僧トクデン・リンポチェ猊下に大導師をお勤めいただき、「上師供養儀軌」などを厳修する予定です。
この法要は、どなたでも自由に参加できます(予約不要・無料)。

トクデン・リンポチェ猊下とチュンペル師
十一面観音灌頂の成満後に、マニ車を加持なさるトクデン・リンポチェ。

7月 3日(日) 無上瑜伽タントラの有暇具足

密教伝授の初日「前行御法話」は、受法者の皆様と会員ボランティアの方々のお蔭で、無事に終了しました。窮屈な場所で御辛抱くださった皆様に、心より感謝致します。

前行御法話でのトクデン・リンポチェのお写真、及び今日の大灌頂の本尊である十一面千手観音のタンカを、夏の密教伝授のページへアップしました。

前行御法話で、無上瑜伽タントラの特別な有暇具足(修行できる境遇)としてリンポチェがおっしゃっていたのは、「胎生で六界具足」ということです。胎生は、文字どおり母胎から生まれること。六界は、地・水・火・風・白い滴・赤い滴。私たちの身体は、この六界によって構成され、その微細な次元としてチャクラ、脉管、風、滴などがあり、それは心と密接に関連しています。このような身体と心の構造は、南贍部洲、つまりこの世界の人間の特徴です。
無上瑜伽タントラは、胎生で六界具足の身心構造にぴったり合わせて説かれた行法であり、それを実践して条件が揃えば、一生での成仏も可能です。だからこれは、浄土の菩薩たちでさえ羨む境遇だといいます。
いま私たちは、そうした胎生で六界具足の身心構造を手中にし、しかも無上瑜伽タントラの教えと出会い、正しい相伝を受け継ぐラマから灌頂や伝授を受けることができるのです。無上瑜伽タントラの聖典に説かれている「修行できる境遇」とは、そういうことにほかなりません。
こんな得難い好条件を手中にして灌頂を受けたのに、修行せず歳月を費やすのは、本当にもったいないと思いませんか? ときどき「日本で無上瑜伽タントラの修行はできない」などという類の話を耳にしますが、そういうのは何の根拠もない妄分別にすぎません。その手の雑音に惑わされ、せっかく得た無上瑜伽タントラの有暇具足を無駄にしてしまったら、いかなる金銀財宝を失うよりも遙かに大きな損失だと思います。

7月 2日(土) 今日から「夏の密教伝授」

いよいよ今日から、大阿闍梨トクデン・リンポチェ猊下の密教伝授が始まりますね。
初日の「前行御法話 菩提道次第集義」は、既に満員となっており、大変混雑すると思います。窮屈な場所に座っていただくことになりますので、なるべく楽な服装でいらしてください。鞄等は、事務室でお預かりします。大きな荷物は、最初から会場へ持ち込まないよう、できるだけ御配慮をお願いします。なお混雑時には、節電のために冷房を弱めることは致しませんから、その点は御安心ください。

7月 1日(金) 修行を続ける本当の力

密教の修行は、そう簡単ではありません。
しかし、今回トクデン・リンポチェ猊下の密教伝授に参加する方々は、「最も正統なラマから灌頂を受けるのだから、自分は必ず修行できる」という自信を持って欲しいと思います。

私も、そのような自信を堅持して、密教の学修に努力しているつもりです。
ただ、長く密教に関わって色々なことが少し見えてくると、以前には自覚しなかった恐ろしさを感じるようになります。とりわけ、三昧耶戒の違越に関しては、大変な恐怖感に苛まれることも時々あります。

そのような恐れを克服して修行の道を歩み続ける力は、やはり帰依と菩提心にあると思います。
正直に言うと、私の場合、密教が大好きだという点も、強い原動力になっています。知れば知るほど、体験すればするほど、密教の魅力は素晴らしいものです。でも、「好きだ」というだけでは、三昧耶戒違越の恐ろしさと「綱引き」のような状態になるだけです。あるときは好きな気持ちが優り、あるときは恐怖感が優り、その間で自分自身は動揺するばかり・・・。
しかし、帰依と菩提心は、そういう在り方と根本的に違います。なぜなら、堅固な帰依と菩提心があれば、、三昧耶戒に違越すること自体が大巾に減るからです。これこそ、密教の修行を続ける本当の力です。

6月30日(木) 道場荘厳

本日は、密教伝授の会場となるポタラ・カレッジ東京センターの浄化・荘厳を行ないました。御奉仕くださった会員の皆様に、心より感謝を捧げます。

6月29日(水) 速報

大阿闍梨トクデン・リンポチェ猊下(大本山デプン寺ロセルリン僧院長)と随行僧チュンペル師、今朝成田空港へ無事御到着になりました。
7月2日(土)の「前行御法話 菩提道次第集義」、及び8日(金)からの「グヒヤサマージャ大灌頂」は、満員のため予約を締切っております。
他は、まだ空きがあります。

6月23日(木) まず作為的な菩提心を

前の記事で、灌頂を受けるには菩提心が不可欠だと書きましたが、正真正銘の非作為的な菩提心となると、そう簡単ではありません。

そこまでは無理でも、まず菩提心についてよく学び、「自分も菩提心を発したい」という真摯な願望を抱き、そのうえでよく瞑想することが大切です。
例えば、「因果の七秘訣」などの瞑想を重ねることにより、作為的な菩提心を確立できるようになります。これに少し習熟しておくことが重要です。そうすれば、灌頂のときも同様にできるでしょう。

灌頂の法儀では、ラマが菩提心のお話をなさるはずです。その内容を聴聞しながら、作為的な菩提心を確立できれば、それを動機にして灌頂を受けられるわけです。

だから、前の記事で書いたように、灌頂を受けた後も菩提心のレヘルアップに精進し、非作為的な菩提心を目指さなければいけません。これができたら、そのとき本当に密教の菩薩となるのです。

6月21日(火) 灌頂で一番大事なこと

トクデン・リンポチェ猊下の密教伝授が近づいてきましたが、灌頂を受けるにあたって最も大切なことを、この時期に再認識しておく必要があります。もちろん、私自身も含めてです。
それは何かといえば、当たり前のことですが、三宝への帰依、そして菩提心です。

密教の灌頂や伝授では、「ラマと本尊は一心同体であり、それに仏法僧の三宝が集約されている」と信解し、真心から帰依することが大切です。
そして、「一切衆生のため、自分自身が仏陀の覚りを得よう」という菩提心を動機にして、灌頂や伝授を受けることが肝要です。
一番大事な要点は、実にこれだけです。

密教を修行するには、仏教一般の巾広い知識や、特に中観の正しい理解が必要です。また、密教自体についても、学ぶべきことはたくさんあります。瞑想を実践するためには、精神集中力も欠かせません。
けれどもこれらは、灌頂を受けから、いくらでも学修できます。特に精神集中力や瞑想技法などは、成就法の実践を通じて鍛え上げることが可能です。

帰依と菩提心もまた、灌頂を受けてから、さらにレベルアップしてゆく必要があります。
しかし、この両者が精神集中力などと決定的に異なるのは、「もし帰依と菩提心がなければ、その人にとって、灌頂自体が全く成立しない」という点です。たとえ伝授会場に座っていても、物理的に身体がその場に存在しただけにすぎず、本当の意味で灌頂を受けたことにはなりません。
ですから密教伝授に際して、とにかく帰依と菩提心だけは、何よりも重要視しなければいけないのです。

6月15日(水) 密教伝授のページ更新

大本山デプン寺ロセルリン学堂僧院長トクデン・リンポチェ猊下の密教伝授を7月に実施することが本決まりになりました。
その関連で、このサイトの密教伝授特設ページを更新しました。
こちらを御覧ください。

6月13日(月) サカダワ法要

今週の水曜(6月15日)は、サカダワの満月、お釈迦様の御誕生・成道・涅槃の御縁日です。
ポタラ・カレッジでは、当日のよる7時45分から、「サカダワ法要」を実施。ゲシェー・ソナム師を導師に、「上師供養儀軌」と「ツォク供養」を厳修します。どなたでも予約なしで参加できますから、是非いらっしゃってください。

法要に参加できない方も、各自でお釈迦様の御真言「ティヤター・オーン・ムニ・ムニ・マハームナイェー・ソーハー」をお誦えになるとよいでしょう。

6月10日(金) ポタラ叢書新刊

「ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書6」が出ました。
『甚深道たる上師供養儀軌』。

内容は、パンチェン・チューキ・ギェルツェン大師「上師供養儀軌・楽空無差別」の完全版です。「ツォク供養」の儀軌も収録してあります。
この「上師供養儀軌」は、ゲルク派の僧院で大変よく修法されているもので、ポタラ・カレッジでも定例法要など多くの機会に用いています。

今回の本は、全編に渡ってチベット文、片仮名、和訳が揃っています。
和訳は、ゲシェー・ソナム師と会員の小野裕子さんが、ヨンズィン・イェシェー・ギェルツェン大師の註釈を参照し、新たに作成したものです。チベット文の入力と版面の構成は、会員の山田比路美さんが担当しました。こうした会員の方々の献身的な御努力により、「上師供養」の完全版ができあがったことに、心より随喜と感謝を捧げたいと思います。

6月 9日(木) ダライ・ラマ法王の御誕生日法要

ダライ・ラマ14世法王猊下の御誕生日は7月6日ですね。
ポタラ・カレッジでは、ちょうどその時期、デプン寺ロセルリン僧院長トクデン・リンポチェ猊下による密教伝授が行なわれる予定です。そこで、7月6日(水)の夜には、トクデン・リンポチェを大導師として「法王御誕生日法要」を厳修したいと考えています。これは、密教伝授の受法者でなくても参加できます。
近いうちに、密教伝授の日程確認も兼ね、一連の御案内を作ります。詳しくはそれに記載しますが、前もって一応お知らせまで。

6月 3日(金) チベット暦の不思議

すぐ前の記事、日付が間違っていましたね。チベット暦の4月1日は正しいのですが、新暦を6月1日と書いてしまいました(もう直っています)。
御丁寧にトップページの一行インフォメーションまで間違ってしまい、もう大ボケです(笑)。
なぜ勘違いしたのかといえば、サカダワの満月の日、つまりチベット暦4月15日が、今年は新暦6月15日だからです。この日にポタラ・カレッジで法要を行なう予定なので、これはよく確認済み。ならば、チベット暦4月1日は、新暦6月1日になりそうですよね。
ところが実際には、6月2日です。どうしてかというと、今年のチベット暦では、4月13日が欠けているからです。月の運行と暦を一致させるためですが、思わぬところに欠落や重複があったりするので、気をつけなければいけません。

6月 2日(木) サカダワ入り

本日は、チベット暦で4月1日。サカダワの始まりです。
「サカダワ」は、お釈迦様に格別の御縁がある月です。
その満月の日(今年の場合、新暦6月15日)は、お釈迦様の誕生・成道・涅槃の御縁日とされています。
サカダワに善い行ないを積むと、功徳が何倍にもなると言われています。

5月30日(月) 仏教入門コースの写真資料

ポタラ・カレッジ東京センターの定期講習で私が担当している「チベット仏教入門 実践コース」【通信受講併用】の写真資料を、アルバムにアップしました。

ここをクリックすると、別ウィンドウで開きます。アルバムが開いたら、写真をクリックして拡大表示できます。

これはフェースブックのアルバムですが、アカウント登録していなくても、誰でも見ることができます。本来ならこの「宗学研究室」のサイトにアップするべきですが、大きいサイズで貼り付けるとページが重くなってしまうから、出来るだけ避けたいです。
通信受講の方は、以前に提供した写真よりこちらのほうが高画質で見やすいので、活用していただければ幸いです。受講者以外の方も、遠慮なく御覧ください。
今後も、仏教入門コースの画像資料があったら、このアルバムへ追加してゆきます。

5月25日(水) チャンパ・リンポチェの御散骨

南インドの大本山デプン寺を訪れたポタラ・カレッジ会員の方からの御連絡によると、3月28日に火葬された大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師の御遺灰は、最近アラビア海へ散骨されたそうです。場所は、デプン寺のあるムンゴットから西ガーツ山脈を越えた先の海辺、ゴアの近くだといいます。

ゴアといえば、インド西海岸の有名なビーチリゾート。チャンパ・リンポチェのもとで密教の教えを受けてから、帰路にゴアのリゾートで少しだけ休養するのは、私の定番コースになっていました。御散骨のお話を伺い、そんな思い出まで、走馬灯の如く蘇ってきます。

覚悟していたこととはいえ、大恩師が示寂された喪失感は、私にとってあまりにも大きなものです。ちょうど地震があり、仕事も忙しい時期で、月日ばかり慌しく過ぎてゆきました。でも今だに、心の奥底では、入涅槃を尊い教えとして受け取りきれません。そんな自分の弱さを、近ごろ折に触れて実感させられます。

5月24日(火) 六座の金剛薩埵の色

無上瑜伽灌頂受者専用ページの話題で恐縮です。

「六座グルヨーガ」後半のページ、B2で観想する金剛薩埵の仏身の色について、何件か御質問をいただきました。個別には既にお答えしましたが、他にも関心のある方がいらっしゃると思うので、同ページの一番下に脚註を付けました。目立たない場所ですが、御覧になってみてください。
「六座グルヨーガ」は、三昧耶と律義の保持が主目的だから、本尊の行相については、成就法よりも行者の裁量の巾が広いようです。

5月17日(火) ポタラ叢書、カワチェンで取扱い

『入菩薩行論』の和訳など、「ポタラ・カレッジ チベット仏教叢書」の全てを、今月からカワチェンネットショップで取り扱っていただくことになりました。
代引なども利用できるので、便利だと思います。
詳しくは、こちらを御覧ください。

これからも、チベット仏教の学修に役だつ本を「ポタラ叢書」シリーズで出してゆけるよう、頑張ります。よろしくお願いします!

5月11日(水) チャンパ・リンポチェの御供養

3月23日の記事に書いたとおり、大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師の追悼法要を、3月27日にポタラ・カレッジ東京センターと大阪教室で厳修しました。その際に集まった浄財(それに合わせて送金されたものを含む)は、合計34万円となりました。これを、リンポチェの執事のシェーラプ・ドルジェ師に送金し、領収書をいただきました。領収書の写しは、東京センター事務室の横に掲出してあります。チベット語で書かれた領収書の主旨は、次のとおりです。

寛大なる日本のポタラ・カレッジ様 このたび、皆様からチャンパ・リンポチェ師の御供養のために340,000円(166,660インド・ルピー)をいただき、リンポチェのラダンのシェーラプ・ドルジェが領収しました。心より、お礼申し上げます。これから、できるだけ多く供養を行ないます。2011年4月22日

5月 5日(木) 無上瑜伽灌頂受者のページ

グヒヤサマージャ、ヤマーンタカ、チャクラサンヴァラなど、無上瑜伽タントラの灌頂を受けた方専用の非公開ページ(パスワード認証)を作りました。

入り口は、こちらです。

とりあえず、灌頂受者必修の「六座グルヨーガ」について、儀軌の読み方、和訳、行法解説を掲載してあります。
今後は、グヒヤサマージャなど三大本尊の行法を中心に、内容を充実させてゆきたいと思います。
これは私の大好きな(笑)分野ですから、気合いを入れて本当に良いコンテンツを作りたいです。少しづつしか出来ないでしょうけれど、是非御期待ください!

4月28日(木) 一切智と創造主

26日の記事は、もう少し解説が必要ですね。

「仏の救済能力が完全無欠」というのは、仏陀がこの宇宙のあらゆる事柄を御存じであり、それゆえ有縁の衆生を最もふさわしい方法で導くことができる・・・という意味です。

全てを知り尽くしているゆえに、仏陀は「一切智」と呼ばれます。しかしそれは、仏陀がこの宇宙を創造したとか、この宇宙を何でも自由自在にできる・・・という意味ではありません。
だから、カルマによって体験している衆生の苦を、仏陀が自由自在に消滅させることはできないのです。

創造主や主宰神の存在を全く認めないという点で、仏教を「無神論」と位置づけることもできます。
しかし、一切智たる仏陀は、確かに存在します。また、仏陀となるために修行中の菩薩も、確かに存在します。
凡俗の人知を遥かに超えた高い境地が実際に存在し、私たち自身も修行によってそうした境地へ到達し得るのです。このような点を認めなければ、仏教を正しく理解できないでしょう。

また、人間よりずっと強い力を持つ神々(諸天)が存在することも、仏教の中で説かれています。
それらの神々は、大自然の営みにある程度の影響力を有していますが、何でも自由自在にできるわけではありません。こうした神々もまた、六道輪廻という苦しみの世界に束縛されている身の上です。

「祈りに効果がある」というのは、様々な存在や現象が幾重にも関係し、互いに影響しあっているからです。これを、仏教用語で「縁起」といいます。
全てが縁起によって成立しているからこそ、真摯な祈りの力は、対象に何らかの作用を及ぼすはずです。
しかし、縁起によって成立している事象は、全て相対的であり、絶対的なものは何一つありません。だから、祈りの力だけで何でも解決することは、あり得ないわけです。

私たち仏教徒が本当に行なうべきなのは、一切智たる仏陀の教えに従い、菩薩たちを見習い、修行によって自らの心を向上させることです。

4月26日(火) 神も仏もいないのか?

今回の大震災のような悲劇をまのあたりにすると、私たちはつい、「神も仏もいないのか」と思ってしまいます。
でも本当のところ、私たちがそう感じるときに期待している「神や仏」は、どこにも存在しないのです。

もちろん、仏は存在します。そして、仏の救済能力は完全無欠です。
しかし、救済能力がどんなに完璧であっても、衆生の苦しみを直接取り除くことはできません。

「仏陀は、人々の罪を水で洗い流すわけではないし、人々の苦を手で取り除くわけでもない。また、自分自身の覚りを他者へ移すわけでもない。そうではなく、真実の教えを説き示すことによって、人々に覚りを得させるのである」。
これは、チベットのラマたちがよく引用する聖句です。

17日の記事で、「仏教には、苦を完全に克服する道が、明確に説き示されている」と書きました。まさに私たち自身が、仏の教えを学んで理解して実践し、自らの心を向上させてゆくことにより、苦を克服する道が切り開かれるのです。
仏による衆生救済といっても、究極的には、これしかありません。

今週29日、ダライ・ラマ法王猊下が緊急来日され、東京の護国寺で震災犠牲者の四十九日法要を親修なさってくださるといいます。この上ない供養になると思います。
法王のような高徳のラマが祈願なされば、確かに素晴らしい効果があるはずです。しかしそうであっても、祈りの力だけで衆生の苦しみを一掃することはできません。
だから私たちは、祈るとともに、法王がお説きになる仏の教えを実践すべきなのです。

4月17日(日) ダライ・ラマ法王のお言葉

明日からまた、ポタラ・カレッジの定期講習が始まります。
私も、受講者の皆様とともに、仏教の学修に精進してゆきたいと思います。

今回の大震災は、物心両面に於て、日本社会にとてつもなく大きなダメージを与えました。
しかし仏教の教えには、心のダメージを克服する確かな手だてがあります。

ダライ・ラマ法王猊下は、日本の大震災の報に接し、「般若心経」の読誦を勧めるという具体的な御助言を伴った、心暖かいメッセージをお寄せになりました3月12日の記事参照)。日本の伝統仏教の大半で「般若心経」が馴染み深いお経だという点も、考慮なさってのことだと思われます。

ところで、自然災害に対する法王のお考えが明確に説かれているのは、昨年東チベットのジェクンドで起きた大地震の際の声明です(2010年4月17日付、法王庁公式サイト参照)。
その中で法王は、「この大惨事の生存者たちに対して、起きたことをカルマの作用だと認め、この災難を前向きなものへ転じてゆくよう、私は呼びかけます。希望を失わず、勇気をもって逆境に立ち向かい、失われたものの復興に立ち上がってください」とおっしゃっています。実に厳しく、力強い励ましですね。
チベット仏教を本格的に学修している方々ならば、このお言葉こそが、一番参考になると思います。

仏教の教えは、この世の本質を苦と認識することから出発します。その点で、非常に厳しい現実認識を迫られます。
けれども仏教には、苦を完全に克服する道が、明確に説き示されているのです。
それを理論と実践の両面で体得なさっている法王のお言葉だからこそ、単なる気休めや慰めではない、本当に信頼できる導きとなるのです。

4月15日(金) グヒヤサマージャ成就法広本講読

ポタラ・カレッジ春からの定期講習のうち、今日は、私の担当するもう一つの新規開講コース「グヒヤサマージャ(秘密集会)成就法広本講読」【通信受講併用】について、少しばかりお話ししましょう。

私がこのコースを実施しようと思いたったのは、大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師のもとで「ヤマーンタカ一尊」の親近行を実修した経験からです。そのときリンポチェの御指導を受けながら、私は、「密教の修行を本格的に実践するためには、まず何よりも成就法の“広本”に精通しなければいけない」という点を心から痛感しました。
グヒヤサマージャでもヤマーンタカでも、成就法の儀軌には、広・中・略の三作法があります。私たちが多忙な日常の中で成就法を実修する場合、主として略作法や中作法を用いることになると思います。しかしそれでも、広作法の儀軌(広本)の中身をよく知り尽くしていなければ、本当に充実した修行にはなりません。
宗祖ツォンカパ大師の『真言道次第広論(ガクリム・チェンモ)』第十二品にも、「初心行者のときにこそ、成就法の冒頭から末尾まで残らず修行すべきだ」という趣旨の教誡があります。私たちは、つい「初心者のうちは簡単な略本で実践し、慣れてきたら長い広本に挑戦しよう」などと思ってしまいがちですが、本当は順序が逆なのです。
そういう意味で、少なくともグヒヤサマージャとヤマーンタカ一尊の成就法広本を習得していることが、ゲルク派の本格的な密教行者としての最低要件だといえるかもしれません。

幸い「グヒヤサマージャ」成就法広本については、以前にチャンパ・リンポチェの御自坊で儀軌の阿含相伝(ルン)を授かっているし、パンチェン・スーナム・タクパ大師の解説書などをもとに詳しい教えを受けています。チャンパ・リンポチェの御恩のお蔭で、私のような未熟者でも、何とか正確で厳密な授業ができるのではないかと思います。
ただ今回のコースは、実践理論の解説を主眼とし、「儀軌の講読」というスタイルをとります。伝統的な形式による行法伝授は、7月に大阿闍梨トクデン・リンポチェ猊下がなさる御予定だからです。

このコースの受講資格は、無上瑜伽タントラの大灌頂を受けていることです。
必ずしもグヒヤサマージャの大灌頂でなくても構いません。というのは、ゲルク派密教の場合、ヤマーンタカやチャクラサンヴァラなども、グヒヤサマージャの実践理論をもとに修行するからです。
ただ、ヤマーンタカなど他の無上瑜伽タントラの大灌頂しか受けていない場合は、このコースでグヒヤサマージャ成就法広本を学んでも、それ自体を本尊瑜伽として実践することはできません。学んだ成果を、ヤマーンタカなどの他の成就法に応用したうえで、それの本尊瑜伽を実修することになります。
なお、今回トクデン・リンポチェの密教伝授が延期になった関係上、今まで無上瑜伽タントラの大灌頂を受けていない方でも、7月にグヒヤサマージャ大灌頂を受法する予定で、既にゲシェー・ソナム会長の承認を得ている場合は、例外としてこのコースに参加できます。

4月 9日(土) 仏教入門 実践コース

昨日は、「花まつり」でしたね。私も、自宅の近くのお寺にお参りし、花御堂でお釈迦様に甘茶をかけてきました。
今年は、ちょうど桜が見頃。天気も良く、最高の「花まつり」日和でした。

さて本日は、ポタラ・カレッジ定期講習の案内書・申込書を発送します。震災とそれに伴う密教伝授延期のゴタゴタで、すっかり遅くなってしまいました。
東京センターの定期講習は、4月18日(月)から始まります。気持ちを切り替えて、仏教の学修に精進しましょう。
新規開講コースの概要、及び時間割表ダウンロードは、こちら

私の担当では、「チベット仏教入門 実践コース」が新しくスタートします。毎週火曜午後7時~8時15分、第2会場です。これは【通信受講併用コース】となっています。
本尊の安置や供養の捧げ方、瞑想の座り方から始め、チベット仏教の実践体系である「ラムリム」に沿った瞑想などを、初心者にも分かりやすく紹介します。
同じ時間帯で3月末まで行なった「チベット仏教入門」が理論中心の授業だったのに対し、今回は実践面にスポットを当てた内容です。
1回は無料で見学できますから、御関心のある方は、是非いらっしゃってください(通信受講も、1回分無料で試聴可能です)。

4月 6日(水) お花見

東京でも、桜がだいぶ咲いてきましたね。
我が家の近くの「お花見名所」も、御覧のとおりです。

川沿いの桜

さて「お花見」といえば、「自粛」という言葉が連想されてしまう昨今ですが、無意味な「自粛ムード」の弊害は、3日に書いたとおりです。
今日の新聞にも、「花見自粛しないで」という記事が出ています。
「花見」はあくまで象徴的な事例であり、私たちの生活の万事に当てはまることだと思います。
東日本の被災していない地域なら、節電だけは気をつけなければいけませんが、それ以外はなるべく普段どおりの生活を心がけるべきでしょう。

ポタラ・カレッジで4月の密教伝授を延期したのは、無意味な「自粛ムード」に迎合したわけではなく、各地の会員の皆様が安心して参加できる状況下で実施したかったからです。
そのように考え、余震、原発事故、停電、交通混乱などが発生した3月の状況をトクデン・リンポチェに御報告し、延期の可能性をお伺いしました。それでリンポチェは、大変お忙しいお立場にもかかわらず、苦労して予定を調整してくださったわけです。
そうであっても、今回の延期が正しかったのかどうか、私には何とも言えません。延期が決まる前に「密教伝授」のページで書いたとおり、密教の灌頂は、こういう苦難の時期に実施すれば、一層大きな加持力を発揮するからです。
いずれにしても、会員や受法予定者の方々には、いろいろと御不便・御迷惑をおかけしてしまいました。心からお詫びします。7月の実施へ向けて頑張りたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。

4月 5日(火) 震災義援金

震災犠牲者追悼と災害鎮静の祈りを込めて厳修した「祈願大祭 − ムンラム・チェンモ」法要(3月19日、於ポタラカレッジ東京センター)で集まった浄財134,500円を、震災義援金として中央共同募金会へ寄付しました。
参加者各位の御協力に感謝いたします。
東京センター事務室の横に、領収書の写しを掲出してあります。

4月 3日(日) 自粛ムードを吹き飛ばそう

今日は、震災の関連で、私が個人的に感じていることを書きます。
東京では、物不足も少しづつ解消し、電車の運行もそれなりに安定してきました。
ただ、いわゆる「自粛ムード」のゆきすぎが、「三次災害」の様相を呈しているように思えてなりません。イベントが軒並み中止され、デパートやレストランも閑古鳥。サービス業の方々は、相当苦労なさっているのではないでしょうか。
こんな状態が長引いたら、震災で大きなダメージを受けた日本経済は、さらに弱体化してしまいます。もともと震災前ですら、決して良好な状態ではなかったはずです。
まるで今の「自粛ムード」は、病人が突然大怪我をしてしまい、そのショックで食事が喉を通らず、衰弱に拍車をかけているようなものではないでしょうか。
「被災者のことを気遣う」という優しい気持ちは尊いですけれど、それで私たちが何かを「自粛」しても、被災者の方々のためには全然なりません。むしろ経済を萎縮させて、復興の足を引っ張るだけです。
もし自分のお気に入りのお店があったら、たとえ個人的に親しいわけではなくても、こういう時にこそ積極的に利用すべきではないでしょうか。そこまでやらなくても、最低限、他人に「自粛」を強要することだけは厳に慎むべきだと思います。
仏教から考えても、いま蔓延している無意味な「自粛ムード」は、亡くなった方々の供養になるわけでもないし、災害鎮静の祈りにもなりません。

原発事故に関しては、全くの門外漢ですから、あれこれ言っても仕方がないでしょう。
ただ、海外で放射能汚染の恐怖がヒステリックに叫ばれた3月14日から18日の週、外国人投資家が割安な日本株を大巾に買い越しています。こういう現象には、相当な違和感を抱かざるを得ません (ヒステリックな騒ぎ方のほうにですよ)。

4月 2日(土) チャンパ・リンポチェ御火葬

ゲシェー・ソナム師が電話で確認したところ、大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師は、3月28日(月)にトゥクタムの三昧を終えられたそうです。それで、翌29日(火)に御遺体を荼毘に付したとのことです。
26日の記事で書いたように、トゥクタムは「死の光明」を現前している状態ですから、それを終えられたということは、中有の代わりに幻身としてお立ち上がりになったわけです。
いずれ有縁の衆生を救うため再び生を受けてくださると思いますが、御遺言で転生活仏としては生まれないとおっしゃっているので(28日の記事参照)、普通の衆生と同じような在り方で利他行をお続けになるのではないかと推察されます。

トゥクタムの最後の一刹那が、無上瑜伽タントラから見た「本当の死」です。リンポチェの場合、医学的な死亡から6日後ということになります。
その間は御遺体が生存中の如く維持されるわけですが、この時期のムンゴットの酷暑(昨夏の日本の猛暑より厳しいです・・)と冷房の無い環境を考えれば、本当に驚異的なことだと言わざるを得ません。
このように、真の偉大なラマは、御示寂の過程までもが、有縁の所化への尊い教誡となるのです。お話を伝え聞くだけでも、まことに身の引き締まる思いがいたします。

3月29日(火) 春からの定期講習

ポタラ・カレッジ東京センターの春からの定期講習は、4月18日(月)スタートです。今回は、震災による密教伝授の日程変更などがあり、定期講習の御案内がすっかり遅れてしまいました。
そこで、このサイトに臨時ページを作り、新しい内容で開講するコースの概要を紹介します。
こちらを御覧ください。

3月28日(月) チャンパ・リンポチェの御遺言

昨日厳修された大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師の追悼法要には、本当に大勢の方々が参加してくださいました。リンポチェの御恩の深さを、改めて実感するひとときだったと思います。

その際にゲシェー・ソナム師から紹介しましたが、チャンパ・リンポチェは御遺言で、高僧のための大々的な葬儀や七日ごとの法要を執り行なわないように、また生まれ変わりの転生霊童を探さないようにおっしゃっているそうです。
昨日の午後には、シェーラプ師から電話があり、リンポチェはトゥクタムの三昧を続けていらっしゃるとのことでした。

3月26日(土) トゥクタム

22日に示寂された大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師は、病院から大本山デプン寺境内にある御自坊へ運ばれ、トゥクタムの三昧に入っていらっしゃるそうです。
この場合の「トゥクタム」とは、医学的には完全に死亡している状態で、最も微細な心が「死の光明」の深い三昧に入っていることです。外見的には、身体の温もりが維持され、遺体の腐敗が進まないといいます。
リンポチェのような熟練した密教行者は、生前から、それとほとんど同じ状態を瞑想の力で実現させています。そのため、実際の臨終にあたっても、それを修行の道とすることができるのです。

チャンパ・リンポチェの示寂は、私にとって大変な悲しみです。
しかし、昨年10月にリンポチェのもとでヤマーンタカ一尊の修行をしたときから、ある程度の覚悟はできていました。そのときリンポチェは、比較的お元気そうな御様子でしたが、お言葉の端々から、遠からず入涅槃なさるお考えが固いように見受けられました。
ただ私は、そんなことを想像すらしたくなかったし、自分の修行で手一杯だったので、あまり考えないようにしていました。一種の現実逃避かもしれません。
今回の大地震の後、執事のシェーラプ師が心配して私の家へ電話をくださったとき、リンポチェの御病状が相当良くないと伺い、ようやく覚悟を決めることができました。
今では、悲しみとともに、感謝の気持ちで一杯です。
私のような異国の怠惰な弟子を、大慈悲のお心から優しく導いてくださった御恩は、須弥山よりも遥かに大きなものです。それに僅かでも報いるためには、リンポチェの教えどおりに出来るだけ実践し、「行の供養」を重ねてゆくしかありません。

3月23日(水) 訃報・大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師示寂

大変悲しいお知らせです。
大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師が、昨日(3月22日)南インドにて、入涅槃の理趣をお示しになりました。
チャンパ・リンポチェは、ポタラ・カレッジの招聘で六度も日本へいらっしゃり、その都度密教の深遠な教えの数々を授けてくださいました。私個人にとっても、一番身近で恩の深い根本ラマです。

ここに謹んで、リンポチェの比類なき御恩に感謝を捧げるとともに、有縁の衆生を大慈悲によってお導きになるため、再びこの世界で化身の御事業をお続けくだるよう、心より祈願したいと思います。

ポタラ・カレッジでは、来る3月27日(日)に東京センターと大阪教室で、リンポチェの御遺徳を偲んで祈りを捧げることに致します。皆様お誘いあわせのうえ、是非御参加ください。
なお、当日のお布施(任意)は全て、南インドのデプン寺ロセルリン学堂に於ける追悼法会のために供養する予定です。

1.東京センター
 日時:3月27日(日) 午後6時45分~8時15分頃
 (6時30分までは、定期講習の授業を行なっているため、会場へ入れません。
 導師:ゲシェー・ソナム・ギャルツェン
 ※ 「上師供養儀軌」のプリント、「常用経軌集」をお持ちの方は、御持参ください。

2.大阪教室 (應典院)
 日時:3月27日(日) 午後4時15分~5時15分頃
 (4時までは、定期講習の授業を行なっているため、会場へ入れません。
 導師:クンチョック・シタル
 ※ 「常用経軌集」をお持ちの方は、御持参ください。

3月18日(金) 土曜は名古屋教室があります

3月19日(土)の午後は、2回めの名古屋教室があります。
今回の担当は、ゲシェー・ソナム師です。
午後1時半から「八つの詩頌による心の訓練(ロジョン・ツィクギェーマ)」、3時45分から「帰依と発菩提心」があります。
予約なしで参加できますから、お気軽にいらしてください。
詳しくは、こちらを御覧ください。

東京センターの定期講習は、今日(18日)から再開しました。
明日(19日)は、「チャクラサンヴァラ」を除き、全ての授業を実施します。その後に、地震犠牲者の追悼と災害鎮静の祈りも込めて、「祈願大祭」の法要を厳修します。午後6時45分からです。御都合のつく方は、是非御参加を。詳しくは、こちらを参照してください。

3月16日(水) 祈願大祭で、犠牲者追悼と災害鎮静の祈り

来る3月19日(土)午後6時45分からポタラ・カレッジ東京センターで行なう「祈願大祭(ムンラム・チェンモ)」の法要では、東日本大震災の犠牲者追悼と災害鎮静の祈りを捧げたいと思います。

「グルプージャ(上師供養)儀軌」を厳修し、お釈迦様の真言(オーン・ムニムニ・マハームナイェー・ソーハー)を念誦します。併せて、犠牲者追悼のために観自在の真言(オーン・マニ・ペーメ・フーン)、災害鎮静のためにターラーの真言(オーン・ターレー・トゥッターレー・トゥレー・ソーハー)などをお誦えします。また、ダライ・ラマ法王猊下も御助言なさっているように、「般若心経」を読誦する予定です。

当日のお布施(任意)は、被災者への義援金として、全額を中央共同募金会へ寄付します。
どなたでも自由に参加できます。御都合のつく方は、是非いらしてください。
なお、「グルプージャ儀軌」のプリントや『チベット仏教 常用経軌集』をお持ちの方は、なるべく御持参ください。

3月15日(火) 水曜と木曜は臨時休講

交通の混乱など震災に関連する不確定要素がまだ多いため、16日(水)と17日(木)の定期講習「ヤマーンタカ成就法」、「入中論」、「チベット死者の書」は、臨時休講とします。
現時点では、18日(金)「現観荘厳論」から授業を再開する予定です。

3月14日(月) 今日と明日のクラス

本日の定期講習「入菩薩行論」は、予定どおり実施します。
明日(15日)の「密教総説」と「チベット仏教入門」も、授業を行なう予定です。

16日以降については、状況を見ながら、明日の役員会で検討します。授業の実施予定に関する最新の情報を、このページにアップします。
出席の困難な方へは、録音を提供しますから、遠慮なくお申し出ください。交通の乱れが相当あるようなので、決して無理はなさらないでください。

3月12日(土) 月曜から授業再開します

改めて、地震の被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
ポタラ・カレッジの会員にも、宮城、岩手、福島各県の方がおられるので、とても心配です。
どうか、御無事でいらっしゃるように、お祈り致します。

自然災害の鎮静や被害軽減のためには、お釈迦様の真言(ティヤター・オーン・ムニムニ・マハームナイェー・ソーハー)やターラー菩薩の真言(オーン・ターレー・トゥッターレー・トゥレー・ソーハー)、さらに摩利支天の真言(オーン・マリツィエー・ソーハー)などをお誦えするとよいといいます(去年8月10日のブログ参照)。
ダライ・ラマ法王猊下は、『般若心経』の読経が、犠牲者の追善供養と誘発災害の予防に効果的だとおっしゃっています(詳しくは、法王庁公式サイト)。これは、必ずしもチベット語ではなくても、日本人に馴染み深い玄奘訳の漢文でお誦えしてもよいはずです。

ところで昨夜は、ゲシェー・ソナム先生や会員の方々とともに、ポタラ・カレッジ東京センターで一夜を明かしました。電車の運転が再開されたので、今朝帰宅したところです。クンチョック先生とガワン先生も無事です。
昨日も書いたとおり、東京センターの定期講習は、13日(日)まで休講となります。明後日14日(月)から再開の予定です。

3月11日(金) ポタラ・カレッジ臨時休講のお知らせ

地震で被災され方に、お見舞い申し上げます。
ポタラ・カレッジ東京センターは無事です。

交通の混乱等の心配があるため、本日と12日(土)と13日(日)の定期講習を、全て休講とします。

3月 5日(土) ロサル

本日は「ロサル」、チベット暦2138年の元旦です。
チベットの人々にとって、今年が少しでも希望の年となりますように!

3月 3日(木) 春の密教伝授

本日、「2011年春の密教伝授」というページをアップしました。

既にポタラ・カレッジ会員の皆様には郵送でお知らせしているとおり、来る4月に大本山デプン寺ロセルリン学堂の現僧院長トクデン・リンポチェ猊下をお招きし、ポタラ・カレッジ東京センターで灌頂や伝授をなさっていただくことになりました。

そこで、一連の密教伝授に関連する最新情報を一箇所にまとめてアップするため、このページを作成しました。
ページの先頭に、更新情報を表示しますから、受法予定者はときどきチェックしてください。

トクデン・リンポチェは、ゲルク派密教の最高学府として名高いギュトゥー寺の副僧院長と僧院長を歴任なさり、密教に深く精通した高僧としてよく知られています。
大阿闍梨チャンパ・リンポチェ師もイチ推しのラマです!
ポタラ・カレッジの仕事がいろいろ忙しくなって大変ですが、とても楽しみですね。

このページの先頭へ  2011年2月以前のブログへ

powered by Quick Homepage Maker 5.3
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional