ポタラ・カレッジ齋藤保高の個人サイトです。チベット仏教の伝統教学について、質の高い情報を提供します。

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このページは、数日おきに更新します。
ブログのように、新しい記事を上に加えてゆきます。
古い記事は、2~3箇月程度で、過去のブログのページへ移します。
ポタラ・カレッジの近況報告や行事に関することなど、最新の情報を書きますから、是非頻繁にチェックしてみてください。

4月 8日(水) 出離と菩提心

全科目通信受講方式で再開した東京センターの定期講習、私が担当している「五次第明灯」4/4分の冒頭でお話しした内容をアップロードしてみました(約10分)。
よかったら、こちらをクリックしてみてください。

コロナ禍で緊急事態宣言という状況になってしまいましたが、こんなときチベット仏教の実践修行者としては、どういう心構えで臨めばよいだろうか・・という話をさせていただきました。この部分は密教そのものの話題ではないから公開しますが、教理・実践の枠組みである「ラムリム」などの教えをよく学修している受講者向けの内容です。
いきなり「苦諦」から始まっていますが、それは「ヤマーンタカ一尊成就法と親近行」3/29分の講義のとき、四諦について話したのを受けた流れだからです。それについては、すぐ下の3月31日付の記事で紹介しています。

なお、「出離」や「菩提心」をはじめとする「ラムリム」について、もう少し具体的な説明は、簡単ですけれどこちらのページも参照してみてください。


3月31日(火) 仏教徒としてコロナ禍とどう向き合うか

前の記事にもあるとおり、ポタラ・カレッジ東京センターの定期講習が、全科目通信受講で再開されました。
私も昨日、一日遅れですが、3月29日分の「ヤマーンタカ 一尊成就法と親近行」の録音を、自宅で行ないました。
ポタラのクンチョック先生やガワン先生は、通信受講専用コースを担当しているから慣れているでしょうけれど、私は受講者の方が居ない場所で講義するのは初めてなので、随分ぎこちなくなってしまったかもしれません。

講義の冒頭、仏教徒として今回のコロナ禍にどう向き合うかというお話をしました。あくまで「仏教徒としての心構え」です(日常の具体的行動としてどう対処するかは、私が語るべきことでありません。各自、信頼できる専門家の助言を参考にすればよいでしょう)。

仏教の教主はお釈迦様ですから、どんな宗派であれ、仏教徒ならばお釈迦様の教えを尊重しなければいけません。そして、お釈迦様の教えの根本的な枠組みは、初転法輪で説き明かされた「四諦(四つの聖なる真理)」です。
四諦の第一は苦諦ですね。お釈迦様は最初に、「これは苦である」とお説きになりました。つまり、私たちの存在というのは、突き詰めれば苦だということです。生老病死すべて、本質は苦しみです。そのように「苦を知るべきだ」とお釈迦様はおっしゃっています。
昔の人々は、天変地異や疫病の流行に苦しめられ、「諸行無常」や「一切皆苦」という教えを肌で実感していたと思います。しかし今の私たちは、現代文明の力で、それらの問題の多くを克服したつもりになっていないでしょうか。でも本当は、単に先送りしているにすぎません。気候変動の激化や耐性菌の出現などは、その一例といえるでしょう。
そして今回のコロナ禍は、人類が昔から経験してきた苦悩の数々を、現代文明の力で完全に克服できるという期待が、単なる錯覚に過ぎないことを、否応なく思い知らされた出来事だといえるかもしれません。もちろん、この新型コロナウイルスの問題自体は、ワクチンや治療薬の開発などにより、早晩解決へ向かう希望があります。しかし、現代文明の力だけでは、こうした災厄の繰り返しから自由になれないという点を、私たちは謙虚に受け入れる必要があります。
仏教徒の立場からすれば、お釈迦様は仏陀であり、十方三世の全てを知り尽くした一切知者です。だからお釈迦様の教えは、古代インドという限定された時代や場所に制約されるものではなく、時空を超えて普遍的に通じる真理なのです。
本当の仏教徒ならば、今回のような災厄に直面したときこそ、まずは苦諦の教えを想起すべきでしょう。極論すれば、今のような状況が、この世界の本当の在り方なわけですから、過度に悲観したり狼狽する必要はありません。その現実を冷静に受け入れられれば、解脱を真摯に希求する出離の心を起こすことができるのです。

お釈迦様は、初転法輪の冒頭で「苦諦」という非常に厳しい現実認識を示されましたが、それで何も解決の方法をお説きにならなかったわけではありません。苦の原因(集)を断ち切り、苦が止滅した境地(滅)を実現するには、正しい方法(道)を実修する必要がある・・。このように、苦・集・滅・道という四諦の枠組みを通じて、苦しみは悉く断滅して解脱を達成できると、お釈迦様は教えてくださったのです。だから、たとえどんな苦境に直面しても、仏教的には必ず解決の道があります。
このことを自分自身について考えて修行するのが、小乗仏教の道です。そこへ利他という視点を導入し、「一切衆生のために仏陀の境地を得よう」という菩提心を動機に修行するのが、大乗仏教の道です。大乗の道を速やかに進むため、本尊瑜伽という特別な手段を用いるのが、密教の道です。密教の中でも、三身修道と楽空無差別を通じて本尊瑜伽を修行するのが、無上瑜伽タントラの道です。このように重層的な段階それぞれで、今回のコロナ禍とどう向き合うか、そして無上瑜伽の中でもヤマーンタカの修行者として何が出来るかなどを、今回の講義再開にあたって少しお話ししてみました。
   
   一切の有為は無常にして
   一切の有漏は苦なれども
   有漏を転ずる瑜伽により
   楽空無別を現証せん

なお、「四諦」についてもう少し具体的な説明は、簡単ですけれどこちらのページも参照してみてください。

3月27日(金) 通信受講による定期講習再開

3月26日(木)に、新型コロナウイルス対策の臨時役員会を実施しました。ポタラ・カレッジ講師陣は、引き続き皆元気ですから、どうか御安心ください。
国内に於けるウイルスの流行が一層厳しい状況となり、25日には東京都知事が「今の状況を感染爆発の重大局面ととらえ、この認識を共有したい」と述べ、できるだけ外出を控えるように要請しています。それらのことを踏まえ、26日の臨時役員会では次の4点を決めました。

3月29日から再開する東京センターの定期講習を全て通信受講で実施する。

② 来期の東京センター定期講習は5月18日(月)から開講する。

3月の大阪教室3/29は一旦中止して5月末に延期する。

④ 4月の定例法要(4/26)は中止する。

通信受講の方法など、詳しくはこちらの特設ページを御覧ください。

3月26日(木) 3月の大阪教室は中止

ポタラ・カレッジ3月の大阪教室は、日程変更して3月29日(日)に実施予定でしたが、新型コロナウイルスの流行状況が一層悪化しているため、やむを得ず中止させていただきます。申し訳ありません。
昨秋に6箇月分前納された費用に関しては、来期との兼ね合いも考慮のうえ、受講者の方々の不利益とならないように取り扱います。
なお、ポタラ・カレッジの関西に於ける教室は、今後とも継続して開催してゆきますが、今回の新型コロナの件と、別途会場変更の可能性があるため、4月以降のことは改めてお知らせします。

また、東京センターの定期講習については、明日情報をアップする予定です。

3月12日(木) 今回の対応の考え方

ポタラ・カレッジ会員・受講者の方々のため、今回までの決定に至った考え方について、少し書いておきましょう。
3月初頭から単純に全科目通信受講とし、所定の3月末で今期の定期講習を終える・・という選択肢もあります。しかし、東京センターの定期講習は、もともと4月と10月の上旬~中旬が休講期間となっていますから、その4月の休講期間を活用しよう・・という考えで、今回のような方針となったわけです。
例年だと、4月20日頃から来期の定期講習が始まりますけれど、現在のような状況だと、5月の連休が明けた後で開講した方が、受講者の皆様も落ち着いて御参加いただけるのではないでしょうか (9月末までの日数が少し減るので、その分はあらかじめ費用を調整します)。そうすると、4月初頭から連休前までの4週間を、補講期間として使うことが可能になります。これで、3月に臨時休講した4週間分を、一日も欠かさずに丸ごと補講できる計算になるわけです。

問題は、3月29日から講習を再開して4月の補講期間へ入るという、その時期に状況がどうなっているかです。現下の趨勢だと、早期の収束は難しいかもしれません。残念ながらそうなってしまった場合は、全科目通信受講で再開し、状況に応じていつでも出席方式(通信も併用)へ切り替えられる・・という態勢で臨みます。最悪、補講期間の最後まで通信受講とせざるを得ず、結果的に3月冒頭から単純に通信受講で行なうのと同じになってしまうかもしれません。ですが、少なくとも3月末までに準備を整えて臨めるため、いきなり3月初めから追い立てられるように通信受講とするよりも、幾分よいのではないかと思います。

法要については、狭い会場に多人数が集まり、全員で経軌を読誦し続け、供物の飲食まで行なう・・というやり方ですから、比較的感染の恐れが高い環境の部類に入ると思います。それゆえ、大変残念ではありますが、状況の改善が見られない限り、中止という判断を継続せざるを得ないでしょう。
皆で集まって法要を厳修する功徳は大きいけれど、しかし、ポタラ・カレッジの受講者の方々ならば、各自の学んできた内容に応じ、個人的にいろいろな修法ができるはずです。
ポタラ・カレッジは、「寺院と信徒」というような関係性ではなく、受講者の方々に本格的な教理・実践の指導を行ない、各自が大乗仏教・密教の一人前の在家修行者として、様々な行法の実修をやってゆけることを目指す仕組みです。なので、世界全体が困難に直面している今日のような状況では、私たち一人ひとりが菩提心について真剣に思いを深め、個人個人で一層の研鑽を進めてゆくべきです。そうすれば、災い転じて福となすことも、きっとできるでしょう。

3月11日(水) 臨時休講の延長と大阪教室の日程変更

昨日、新型コロナウイルス対策の臨時役員会を実施しました。ポタラ・カレッジ講師陣は、全員元気ですから、どうか御安心ください。この役員会で、次の2点が決定されました。

新型コロナウイルス感染症の流行が強く懸念される状況が続いているため、東京センターの定期講習は、3月28日(土)まで臨時休講とします通信受講専用コースも含む)。臨時休講となる4週間分に相当する補講を、もともと休講期間である4月1日(水)から28日(火)までの4週間で行ないます。
 3月29日(日)から講習を再開し、そのまま4月1日~28日の補講期間へ入ります。3月末になっても事態が好転していない場合の対応、来期の定期講習、集中講座、法要などについて、詳しくは公式サイトの特設ページを御覧ください。こちらです。

3月22日(日)に予定されている大阪教室は、一週間繰り下げ、3月29日(日)に実施します。時間と会場は、従前と同じです。

3月 6日(金) 「大日経」と註釈書の和訳

インド-チベット系仏教の学術書を数多く出版している起心書房から、今年の新刊2冊が出ました。
北村太道訳『蔵文和訳 大日経』
同『全訳 ブッダグヒヤ 大日経広釈』

起心書房2020年新刊

このたび、翻訳者の北村太道先生(種智院大学名誉教授)から御恵贈いただきました。まことに有難いことです。
北村先生には、昨年末、「秘密集会」立体曼荼羅の件でも大変お世話になったばかりです(12月31日の記事参照)。そのときいろいろ御親切にしてくださった中島小乃美先生も、この2冊の作成に全面的に携わっておられます。両先生をはじめ関係者各位の、御努力の賜物である素晴らしい成果に、心より随喜いたします!
この2冊は、簡単にいえば、チベット文『大日経』の和訳と、インド大乗仏教の最高学府たるナーランダ寺のブッダグヒヤによる『大日経』の詳しい註釈書をチベット語訳から和訳したものです。
『大日経』は、日本密教の最重要聖典の一つであり、チベット密教の「四部タントラ」の枠組みからすると、行タントラを代表する聖典になります。
宗祖ツォンカパ大師は、密教の主著『真言道次第広論(ガクリム・チェンモ』で四部タントラを順に説くにあたり、所作タントラを代表する『後禅定品』、行タントラを代表する『大日経』、及び瑜伽タントラを代表する『真実摂経(初会金剛頂経)』の解釈については、まず大学僧ブッダグヒヤの註釈書に依拠されています(ブッダグヒヤによる『初会金剛頂経』の註釈書についてはこちらを参照)。
この三段階のタントラに対するブッダグヒヤの註釈書には、一貫した思想があります。分かりやすくいうと、顕密共通の大乗仏教修道論のうえに、密教独特の本尊瑜伽(有相瑜伽・無相瑜伽)を加味するという考え方です。
無上瑜伽タントラの場合、さらに独特の要素である三身修道(クスム・ラムギェル)が加味されて、生起次第・究竟次第が設定されます。それゆえ、ツォンカパ大師が無上瑜伽タントラ三大本尊(秘密集会、チャクラサンヴァラ、ヤマーンタカ)の生起次第・究竟次第を解釈なさっている考え方のもとは、大学僧ブッダグヒヤによる『大日経』などの註釈書にある・・と想定することもできるわけです。
チベット密教サイドから今回の御本2冊を読み解く場合、こうした視点にも留意すると、一層興味深いかもしれません。
詳しくは、起心書房のサイトを御覧ください。
http://kishin-syobo.com/

2月28日(金) 定期講習の臨時休講

新型コロナウイルスの流行が強く懸念される状況のため、ポタラ・カレッジ東京センターの定期講習は、3月1日(日)から14日(土)までの2週間、臨時休講とします(通信受講専用コースも含む)。この期間に相当する補講を、もともと休講期間である4月1日(水)から14日(火)までの2週間で行ないます。
3月15日以降の対応、来期の定期講習、集中講座、法要、及び大阪教室の取り扱いなどについて、詳しくは公式サイトの特設ページを御覧ください。こちらです。

2月24日(月・休) チベット暦正月 

༄༄།། ནམ་ལོ་གསར་ལ་བཀྲིས་བདེ་ལེགས་ཞུ །།

本日は、チベット暦2147年の元日です。
新年「ロサル」を迎え、チベットの人々が平和で幸福な生活を送れるよう、心からお祈り致します。

TMAI2020カレンダー

写真は、チベット医学暦法研究所(メンツィーカン)のカレンダー。大変遅くなりましたが、先週ポタラ・カレッジ東京センターにも入荷しました。仏画の主尊は尊勝仏母(ナムギェルマ)、向かって左下は無量寿仏、右下は白ターラー、上は中央が釈尊、左がジェツン・ミラ・レーパ、右がサチェン・クンガ・ニンポです。
チベット暦2147年の元日(ロサル)は、新暦2020年2月24日。祈願大祭(ムンラム・チェンモ)の1月15日は、新暦3月9日。サカダワの4月15日は、新暦6月5日。ザムリン・チサンの5月15日は、新暦7月5日。初転法輪御縁日の6月4日は、新暦7月24日。ラパプ・トゥーチェンの9月22日は、新暦11月7日。ツォンカパ大師御縁日(ガンデン・ガチュー)の10月25日は、新暦12月10日。大晦日は、新暦2021年2月11日となります。

2月19日(水) 新型コロナウイルスへの対応について

御承知のとおり、新型コロナウイルスによる肺炎の流行が心配される事態となっています。ポタラ・カレッジの定期講習等は、現時点では、全て通常どおり実施しております。厚生労働省のホームページに「発熱などの風邪の症状があるときは、学校や会社を休んでください」と記載されているように、高熱や激しい咳などの症状がみられる場合は、無理をせず欠席なさるようにお願い致します。また、特に症状は無いけれど健康状態が心配な場合も、御無理はなさらないでください。
欠席された講義につきましては、お申し出により通信受講の対応を致しますので、遠慮なくお気軽に御相談ください(「通信受講併用コース」以外でも、録音データの御提供は可能です)。なお、受講中のマスクの着用は、何ら問題ありません。今後もし休講となるような場合には、ポタラ・カレッジ公式HPトップページの「新着情報」欄に最新の情報を掲載しますので、必要に応じて御覧いただければと思います。
ダライ・ラマ法王猊下は、新型肺炎の鎮静のため、ターラーの十字真言「オーン・ターレー・トゥッターレー・トゥレー・ソーハー」の念誦を呼びかけておられます。

2月10日(月) 善通寺公開講座第4回終了 

先週2月6日と7日に実施された総本山善通寺のチベット仏教公開講座(第4回)、お蔭樣で無事に終了いたしました。御参加くださった皆様、御関係者各位に、心より随喜と感謝を捧げます。
今回で、全8回の半分を終えたことになります。内容的には、密教に関する章(拙著『チベット密教 修行の設計図』第9章まで)が済んだので、後半4回は顕密共通の道を説明してゆきたいと思います。次回は、5月28日(木)・29(金)の予定です。

善通寺公開講座(第4回)

写真は1日めの講義風景。宗祖ツォンカパ大師の礼賛偈「ミクツェマ」の解説をしているところです。
毎回の講義の最初、本題へ入る前に、平易な実践法を少しづつ紹介しています。最終的には、「ガンデン・ラギャマのグルヨーガ」を習得できるようにしたいと考えています。会場は、御影堂の横にある「いろは会館」という宿坊の3階大広間。

1月 4日(土) 新春特別講習

ポタラ・カレッジ東京センターで、1月13日(月・祝)に新春特別講習「インド仏教の八大祖師」を実施します。時間は午前11時~午後5時、担当はガワン・ウースン師です。
チベット仏教の源流となるインド大乗仏教の伝統は、主にナーランダ寺の法流に属する大祖師たちによって確立されたものです。その中でも古くからお名前をあげられているのは、ナーガールジュナ(龍樹)、アールヤデーヴァ(聖提婆)、アサンガ(無著)、ヴァスバンドゥ (世親)、ディグナーガ(陳那)、ダルマキールティ (法称)、グナプラバー(功徳光)、シャーキャプラバー(釈迦光)の八大祖師です。今回は、教主釈尊とこれら八大祖師たちの功徳を称える祈願文「カーニャムマ」に沿って、八大祖師の偉業を概観します。
詳しくは、こちらのページを御覧ください。

2020年1月1日(水・祝) 謹賀新年

2020 年賀

昨年は、宗祖ツォンカパ大師の六百年御遠忌にあたり、ポタラ・カレツジで幾つかの記念行事を実施することができました。また私自身にとっては、大晦日にも書きましたが、総本山善通寺での公開講座など、有意義でありがたい御縁に恵まれたと思います。各方面でお世話になった皆様へ、心より感謝を捧げます。
今年は、これまでの御縁を大切に生かし、新たな展開を目指したいです。つい最近、立体曼荼羅のことでお目にかかった北村太道先生からも、とても暖かい御激励をいただき、まことに心強い限りです。健康に気をつけながら、精進努力してゆきたいと思います。本年も、どうかよろしくお願いいたします!
写真:大晦日、自宅近くの永福町駅舎屋上からの眺め

2019年12月31日(火) 北村太道先生と

昨日の記事にあるとおり、12月23日に立体曼荼羅の分解過程を見学させていただいた際、北村太道先生と撮ったお写真です。

北村太道先生

北村先生は、改めて御紹介申し上げるまでもなく、チベット密教の重要典籍について、数々の和訳・研究を手がけてこられた第一人者です。
最近は、四部タントラのうち瑜伽タントラに属する諸典籍の研究を通じ、瑜伽タントラから無上瑜伽タントラへ展開してゆく流れの解明に取り組んでいらっしゃいます。この研究には、今回大変お世話になった中島小乃美先生も、御一緒に携わっておられます。先生方の研究成果は、起心書房の「『金剛頂経』系密教 原典研究叢刊」シリーズとして、次々と刊行されています(出版社サイトのこちらのページ参照)。
また北村先生は、インドの亡命チベット人社会に於けるギュメー寺とギュトゥー寺の再建を、積極的に支援してこられました。多くの大本山の伽藍が、台湾などからの援助によって整備されている中で、ゲルク派密教最高格式の両寺が、日本からの援助で再建されたのは、とても輝かしい事績だと思います。
今回北村先生とお目にかかり、親しくお話しする機会に恵まれたのは、本当に光栄なことです。

さて、2019年も瞬く間に終わってしまいましたね。
走馬灯のように過ぎ去った日々を顧みるに、ここ2年半インドへ学修に行けていないのは悔やまれるけれど、そのこと以外は、結構充実した一年だったと言えるかもしれません。殊に、総本山善通寺で公開講座を担当させていただいているのは、大変有意義で有難い御縁だと思っております。

本サイトを御覧くださっている皆様に、心から篤く御礼申し上げます。来年もまた、よろしくお願い致します。
どうか、善いお年をお迎えください。

12月30日(月) 立体曼荼羅の内部を拝観

11月5日付の記事で御紹介したように、京都の佛教大学宗教文化ミュージアムで12月7日まで、ギュメー寺の流儀による「秘密集会」聖者流の立体曼荼羅が展示されていました。それの分解撤収作業が、12月23日に行なわれたため、特別に見学させていただきました。曼荼羅の内部を詳細に観察できる、絶好のチャンスです! 成就法で瞑想すべき立体イメージを掴むのに、とても役だちます。
見学をお許しくださった北村太道先生(種智院大学名誉教授)と小野田俊蔵先生(宗教文化ミュージアム館長)、お世話になった中島小乃美先生(佛教大学准教授)と熊谷貴司先生(宗教文化ミュージアム学芸員)に、心より篤く御礼申し上げます。


秘密集会立体曼荼羅

展示中と同じ、完成した状態。東南方向からの俯瞰です。


楼閣本体

最上部の金色の屋根(ギャピプ)を取り外したところ。中央にある青い円盤状のものは、八本の柱で支えられた内陣の天井。シールが貼ってある箇所は、仏頂転輪王の座。


内陣

内陣の部分だけ楼閣から取り出したところ。東方向からの俯瞰です。内陣は金剛の井桁で九区画され、主尊父母、四如来、四仏母の三昧耶形(シンボルマーク)が安置されています。成就法で曼荼羅の観想をするときは、基本的に、この内陣の中心からの見え方をイメージすることになります。
内陣の下部、円筒形の台は1門量(諸尊の身長)の高さがあり、その中に降三世明王の三昧耶形が安置されています。第二院(四金剛女)、及び外廊や門(八大菩薩、八忿怒明王)の床面は、この台の下部とほぼ同じ高さです。


北門

北門の鳥居楼(トーラナ)を取り外したところ。楼閣の行相を詳しく観想するために役だつ情報が、この1枚の中に数多くあります。大灌頂を受けて成就法を学修している方は、是非ともよく観察してください。

これらのほかにも、いろいろな角度から写真を撮らせていただきました。どれもこれも、本当に貴重な資料ばかりです。
この素晴らしい機会を与えてくださった北村先生をはじめ諸先生方の御厚意を、決して無駄にすることがあってはいけませんので、成果を様々な形で有意義に活用して参りたいと思います。

12月 9日(火) 600年めのガンデン・ガチュー

チベット暦の10月25日(今年の場合、新暦12月21日)は、「ガンデン・ガチュー」といい、宗祖ツォンカパ大師ロサン・タクパの御縁日とされています。ツォンカパ大師は、チベット仏教史上随一の大学僧・大聖者として数々の偉業を成し遂げ、1419年10月25日に示寂の理趣をお示しになりました。後世、この有縁の御命日に大師の遺徳を偲び、大がかりな法要を厳修するという習慣が確立され、現在もチベット仏教圏で広く行なわれております。ガンデン・ガチューの夜は、家々の仏壇や窓辺に灯明を点し、幻想的な雰囲気の中で祈りの時間を過ごします。

総本山ガンデン寺宗祖霊廟
聖都ラサ近郊の山上に建立されたゲルク派総本山ガンデン寺の宗祖霊廟

特に今年は、ツォンカパ大師の600年御遠忌にあたる節目の御縁日なので、ポタラ・カレッジ東京センターでは、当日の午後に記講演を実施してから大法要を厳修します。

1.記念講演 ツォンカパ大師の御生涯と著作
 文殊の化身でありながら、一介の僧侶の立場から身を起こし、顕教と密教の学修を究め、ゲルク派を立宗して教理・実践体系を明確に説示し、後世の所化を利益するため十八巻の全集を残してくさったツォンカパ大師の偉大な御生涯を垣間見て、主要な御著作の特色を紹介します。
 講師:クンチョック・シタル
 日時:12月21日(土)午後1時~2時30分
◎ 詳しい情報とお申し込みはこちらのページへ。

2.ガンデン・ガチュー御縁日大法要
 導師:ゲシェー・ソナム・ギャルツェン
 日時:12月21日(土)午後3時~5時頃
◎『甚深道たる上師供養儀軌』、『チベット仏教常用経軌集』をお持ちの方は、御持参ください。
※ 12月21日(土)の定期講習は、全て休講とさせていただきます。また、22日(日)予定の定例法要は、お休み致します。22日の定期講習は、通常どおり実施します。

12月 4日(水) 「入中論自註」の全訳

しばらくブログの更新をサボっているうち、いつの間にか師走ですね(汗)

ところで先月、奥住毅先生(中村元東方研究所連携研究員)から貴重な新著を御恵贈いただきました。

奥住毅著『チャンドラキールティ 入中論および自註』(山喜房佛書林

入中論および自註

大変有難いことです。インド仏教の大論師チャンドラキールティ(月称)の『入中論』は、中観帰謬論証派の見解を鮮明に打ち出した論書であり、チベット仏教の僧院では、「中観学」の最重要典籍として徹底的に学修されています。
本書は、『入中論』の根本頌と自註の和訳であり、論師ジャヤーナンダによる複註の和訳も抜粋して付されています。インド大乗仏教思想、中でも中観プラサーンギカの研究に長年打ち込んでこられた奥住先生による、ライフワークの集大成というべき御著書です。

奥住先生は、一時期ポタラ・カレッジの会員として、主にクンチョック・シタル師の文献講読の講習に参加されていました。また、中観思想と密教の関連性を探究したいというお考えから、私の担当する密教の概論的な講習にまで御参加くださったことがあります。多くの実績を積まれた超ベテランの研究者でありながら、さらにチベット仏教の伝統教学について見聞を深めようという先生の御姿勢に、私たちは強く感銘を受けて、是非見習わなければいけないと思ったものです。本書の「はしがき」で、「チベット仏教の歩みはそのまま全体が中観(と唯識とによる或る一つの)仏教の現実化と深化の歩みでもあった」とおっしゃっているのは、まさにそのとおりであり、素晴らしく端的な表現でチベット仏教の在り方を言い当てています。
奥住先生の以前の御労作『中論註釈書の研究』(大蔵出版、増補改訂版は山喜房佛書林)がチャンドラキールティ『プラサンナパダー(浄明句論)』の和訳なので、今回の御新著と両方合わせ、我が国に於けるインド中観思想の研究成果として、後世に残る金字塔となることでしょう。

11月 5日(火) 京都のチベット密教美術展

日にちは前後しますが、10月30日、前の記事に書いた善通寺の公開講座へ向かう途中で京都へ立ち寄り、佛教大学の宗教文化ミュージアムで開催中の秋季特別展「チベット密教の美と祈り~北村コレクションより~」を拝観して参りました。北村太道先生(種智院大学名誉教授)から御案内のお手紙を頂戴し、是非お伺いしたいと思っていたので、ちょうどよい機会となりました。

ミュージアムのエントランスホールには、ギュメー寺の流儀による秘密集会の立体曼荼羅が安置されていて、そこだけは写真撮影が可能です。立体曼荼羅の隣には、秘密集会聖者流の所描曼荼羅(平面図)も展示されているので、両方を対照して観察することができます。これらを拝観できるだけでも、訪れる価値は十分あるでしょう。
秘密集会の大灌頂を受けて成就法を学修している方々に特に注目して欲しいのは、楼閣の内部を覗くと、中心部の内陣が円筒状に高くなっている点です。この高さは、儀軌で1門量(門の横幅=諸尊の身長)と定められています。本尊瑜伽で自己を内陣中央の主尊として修習しているとき、主尊父母・四如来・四仏母の居場所が楼閣の床面よりだいぶ高くなっているという、その高低差を視覚的に実感できます。
この円筒状の内陣の縁から立っている8本の柱が、最上部の金色の屋根を支えています。楼閣本体の陸屋根は、中央に四角い開口部があり、8本の柱はそこから上へ突き出ているわけです。この開口部の周囲から立つ短い柱で、金色の屋根の軒先を支えています。
また、四方の門の外にある十一層のトーラナ(鳥居櫓)が、楼閣本体とは別個の建造物として独立している点なども、この立体曼荼羅を観察すればよく分かります。

秘密集会立体曼荼羅

エントランスホールの先、二つの展示室に安置されている仏像やタンカは、とても素晴らしいものが数多くあります。中でも、一番奥の正面に展示されているチャクラサンヴァラは、とりわけ魅力的な尊像です。その右にあるヤマーンタカ十三尊曼荼羅は、三昧耶形や種字ではなく、尊像で表現されている貴重なものです。
これほどのチベット仏教美術を一度に拝観でき、しかも入場無料なのは、本当に有り難すぎますね! 館長の小野田俊蔵先生(佛教大学教授)や学芸員の熊谷貴史先生にも、御挨拶申し上げることができて、とても有意義な訪問となりました。
私たち日本のチベット仏教徒の立場からすると、北村コレクションは、まさに世界に誇れる我が国の宝だと思います。本当に素晴らしい機会だから、多くの方々に見学していただきたいです。
これからの季節は、いよいよ紅葉も本番なので、嵯峨野の散策を兼ねて訪れるのもよいと思います。私自身は、嵐電嵯峨駅(JRの嵯峨嵐山駅も近くにあります)で降りて、まず大覚寺(旧嵯峨御所・真言宗大覚寺派大本山)を参拝し、そこから広沢池へ向かいました。宗教文化ミュージアムは、広沢池のすぐ近くです。この一帯は、真言宗の事相として一つの大きな系統となる広沢流の発祥地でもあります(ちなみに、もう一つの大きな系統は小野流で、その発祥地は山科の随心院)。全行程徒歩で、「けっこう歩いたかな」と思うぐらいの距離です。
詳しくは、宗教文化ミュージアムの公式サイトを御覧ください。こちらです。

11月 3日(日・祝) 善通寺公開講座第3回終了

10月31日と11月1日に実施された総本山善通寺のチベット仏教公開講座(第3回)、お蔭さまで無事に終了いたしました。熱心な参加者の皆様の御精進と、善通寺の方々の御親切に、心より随喜と感謝を捧げます。
今回は、無上瑜伽タントラの生起次第と究竟次第について、曼荼羅の画像なども使いながら、概略をお話しさせていただきました。こうした内容について本格的に学修するためには、無上瑜伽タントラの大灌頂を受けて三昧耶と律儀を受持する必要があるので、次回はそれらについてお話しします。来年2月6日(木)・7日(金)の予定です。

善通寺御影堂

上の写真は、善通寺西院の御影堂(大師堂)です。このお堂では、菅智潤 法主猊下(真言宗善通寺派管長)御親修の朝勤行が毎日あります。夏季は5時半、冬季は6時からです。早起きの苦手な私も、欠かさず参列させていただいております(汗) 『理趣経』の読誦を中心とした、真言宗らしさを実感できる清々しい御法楽です。
御影堂は、弘法大師空海が御誕生なさった場所に建立されています。このお堂の奥殿に本尊として安置されている御影は、空海が留学僧として唐へ渡るにあたり、心配する母親を慰めるために残していかれた自画像だそうです。お堂の前にある「御影の池」の水面に月明かりで映ったお姿を、御自身で描いたといいます。後の鎌倉時代に土御門天皇が拝観されたとき、御影の空海が瞬きしたため、「瞬目(めひき)大師」と呼ばれるようになったそうです。御本尊は秘仏とされていますが、弘法大師の御誕生1250年にあたる令和5年には御開帳があります。
御影堂の地下は、「戒壇巡り」となっています。堂内から階段を下り、御宝号を誦えながら真っ暗な通路を進むと、奥殿の真下へ辿り着いて御本尊と結縁できます。

10月21日(月) 秋からの定期講習開講

いよいよ本日より、秋からの定期講習が始まります。
前にお知らせしたとおり、今回は『現観荘厳論』、『宝性論』、『空七十論』など、仏教の思想哲学について深く学べる本格的なコースが揃っています!!
詳しくは、こちらのページを御覧ください。

いきなり受講申し込みするのが不安でも、1回無料で見学できますから、そのとき担当講師にいろいろ相談したうえで、ゆっくり考えて決められます。
また、開講初日に間に合わなくても、受講者の方には、出席できなかった講義の録音データを提供できます。その辺は、なるべく臨機応変に対応しますから、御興味のある方は是非前向きに考えて、遠慮なくお声をかけてください。

なお御承知のとおり、今週の火曜日(10月22日)は、天皇陛下御即位の礼に伴う本年だけの国民の祝日です。国民の祝日であれば、定期講習は休講となりますので、火曜日の「宝性論」のコースは、来週(10月29日)からのスタートと致します。

今期もまた、よろしくお願いします。
ともに精進して、仏法の探求を深めてゆきましょう!

10月14日(月・祝) 台風被害のお見舞い

このたびの台風の被害に遭われた方々へ、心よりお見舞い申し上げます。
事態の沈静化と、被害の早期回復を至心に祈念致します。

自然災害の鎮静や被害軽減のためには、お釈迦様の真言(ティヤター・オーン・ムニムニ・マハームナイェー・ソーハー)やターラー菩薩の真言(オーン・ターレー・トゥッターレー・トゥレー・ソーハー)、さらに摩利支天の真言(オーン・マリツィエー・ソーハー)などをお誦えするとよいといいます。
ダライ・ラマ法王は、『般若心経』の読誦をお勧めになっています。これは、チベット文でも漢文でも大丈夫です。

昨日夕方、ポタラ・カレッジ東京センターを点検し、特に異常のないことを確認しました。
本日の「八斎戒」、19日(土)・20日(日)に延期された「金剛般若経」、21日(月)から始まる定期講習など、つつがなく実施できると思います。

10月11日(金) 集中講座「金剛般若経」一週間延期

10月12日(土)・13日(日)に予定していた秋季集中講座「金剛般若経の解説」は、天候不良が予測されるため、一週間延期して10月19日(土)・20日(日)に実施します。
変更後の日程だと出席が困難になってしまう方には、通信受講の対応を致します。
なお、10月14日(月・祝)の集中講座「八斎戒」は、予定どおり実施します。

10月 1日(火) 定期講習御案内ページ

ポタラ・カレッジ公式サイトに、この秋開講の定期講習の御案内ページを掲載しました。
こちらです。
現観荘厳論』、『宝性論』、『空七十論』など、仏教の思想哲学について深く学べる本格的なコースが揃っています!!
この御案内ページから、受講のお申し込みもできるようになっています。

9月30日(月) 弥勒菩薩の教え

あっという間に、9月も終わりですね(汗)
ポタラ・カレッジの定期講習も、今期は本日までとなっています。私自身の担当している2コースは、昨日までで今期分を終了しました。
土曜の「五次第明灯」は、ちょうど究竟次第の後半、自加持次第(幻身)に入ったところです。一昨日は、アールヤデーヴァ『行合集灯』第六品冒頭で、弟子が金剛阿闍梨に幻身の教誡を請問する箇所まで読み解きました。この弟子の請問は、単なる質問やお願いではなく、その言葉の中に幻身の位置づけを知るための大切な教えが含まれています。今期の最終回にあたり、生起次第や究竟次第前半で修習する本尊瑜伽の仏身と、幻身がどう異なるかという点など、少し整理してお話ししてみました。来期(10月26日再開)は、いよいよ金剛阿闍梨の返答を通じ、幻身の教誡そのものが明らかにされてゆきます。まさに究竟次第の核心部分、私自身も本当に、ワクワクするように楽しみです ^^ 
日曜の「ヤマーンタカ 一尊の成就法と親近行」は、空性の修習が終わったところです。この空性修習は、成就法の前行で福智二資糧を積集するうち、智の資糧に該当します(福徳の資糧に該当するのは、空性修習より前に行じる七支分などです)。そして来期(10月27日再開)は、成就法の正行として曼荼羅の建立、因の執金剛(文殊童子)の生起、果の執金剛(金剛バイラヴァ)の生起・・と進んでゆきます。昨日の講義では、無上瑜伽タントラの特長となる三身修道(クスム・ラムキェル)について、基・道・果の枠組みを通じてお話ししてみました。三身修道という視点からすると、空性修習が死の法身、因の執金剛が中有の報身、果の執金剛が生の応身となります。こちらも、生起次第の核心部分といえる箇所なので、やはり物凄く楽しみです! 

そんなわけで、私自身の担当するコースは継続ばかりですが、この秋は大型の新規開講が目白押しです。注目すべき特色は、「弥勒づくし」みたいなラインナップになっている点です。チベットの伝統教学では、弥勒菩薩がアサンガに授けた教えとして、「弥勒五法」という五つの論書がよく知られています。それらの中でも、特に重要なのは『現観荘厳論』と『究竟一乗宝性論』です。

現観荘厳論(弥勒菩薩) 
『現観荘厳論根本頌』ペチャ(経巻)の冒頭部、弥勒菩薩の白描です。

今回は、ガワン・ウースン師の担当で、月曜に「現観荘厳論」、火曜に「宝性論」が始まります。こうした大論書を全篇きちんと学べる機会は、本当にとても貴重ですから、御関心のある方は、是非是非受講を御検討なさってみてください。一度見学してから決めてもOKです。
また、ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師担当の「前行道場 グルヨーガ」は、兜率天の教主たる弥勒菩薩の胸から流出したツォンカパ大師を観想する「ガンデン・ラギャマのグルヨーガ」がテーマとなります。
今年は、宗祖ツォンカパ大師の六百年御遠忌。その御縁日にあたる「ガンデン・ガチュー」(12月21日)も間もなくです。そうした時期に、ほぼ偶然ですけれど、定期講習の新規開講が「弥勒づくし」になったのも、きっと何かの御縁なのでしょう。ということで、今度の定期講習案内書の表紙は、弥勒菩薩の御影になります。遅くなって大変申し訳ありませんが、ポタラ・カレッジ会員の皆様へ今週末に発送の予定です。会員以外の方へも、御依頼があればお送りしますから、遠慮なくおっしゃってください(メール info@potala.jp)。

9月11日(水) 秋からの新規開講

ポタラ・カレッジ東京センターの来期定期講習は、10月21日(月)から始まります
新規開講は、次のとおりです(他は、現行の内容で継続します)。
『現観荘厳論』、『宝性論』、『空七十論』など、仏教の思想哲学について深く学べる本格的なコースが揃っています!!

1.「現観荘厳論」の解説
 月曜 午後6時30分~8時 ガワン・ウースン担当 【通信受講併用】
 チベット仏教の僧院教育で最も重要な課題の一つ、『現観荘厳論』を読み解きます。『現観荘厳論』は、『般若経』の行間に隠れた意味内容(五道・十地の修道論など)を、弥勒菩薩が説き明かした聖典です。今回は、リメー(無宗派)の法流に属するジャムヤン・ロテル・ワンポの註釈に基づいて解説します。定期講習で『現観荘厳論』全篇を詳説すると、普通は5年ぐらいかかるけれど、本コースでは比較的簡略な註釈書を用いるため、2年程度で完結できると思います。

2.「宝性論」の解説
 火曜 午後6時30分~8時 ガワン・ウースン担当 【通信受講併用】
 弥勒菩薩が仏性(如来蔵)などについて説き明かした『究竟一乗宝性論』を、ツォンカパ大師の直弟子ギェルツァプ・ジェによる註釈に基づいて解説します。仏性思想という一つの立場だけではなく、仏陀の境地の在り方(四身、十二相、etc.)について学ぶのにも、大変適した機会です。密教の本尊瑜伽は、仏陀の立場から修習することなので、 仏陀の境地の在り方を正しく知るのはとても重要です。

3.「空七十論」の解説
 木曜 午後6時30分~8時 クンチョック・シタル担当 【通信受講併用】
 ナーガールジュナ(龍樹)が中観哲学について説き明かした六論書の一つ、『空七十論』を読み解きます。六論書の中でも、主要なものは三つで、『中論』が空性、『六十頌如理論』が縁起を主に説いているのに対し、この『空七十論』は中観思想に基づいて因果関係を説いている点が特色といえるでしょう。中観哲学を学びたい方にお奨め!

4.瞑想教室 三十七菩薩行
 日曜 午後3時15分~4時45分 ゲシェー・ソナム・ギャルツェン担当
 ギェルセー・トクメー・サンポの『三十七菩薩行』を平易に説明したうえで、教えの内容を体得するために瞑想を実修します。自分の心を少しづつ菩薩の利他心に近づけていく修行を実践指導。初心者の方にもお奨めです!

5.前行道場 グルヨーガ
 日曜 午後5時~6時30分 ゲシェー・ソナム・ギャルツェン担当
 入門的な四種の修行のうち、この半年は、ラマの加持を得るための行法「ガンデン・ラギャマのグルヨーガ」を実践指導。

6.ラムリムの概略 ユンテン・シルキュルマ
 通信受講専用コース ガワン・ウースン担当
 ツォンカパ大師御自身が「ラムリム」の要点を凝縮して読誦用の儀軌にまとめた「ユンテン・シルキュルマ」を平易に解説。初心者の方にもお奨め!

大阪教室 午前11時~のクラス、10月からは『真言道次第広論(ガクリム・チェンモ)』第十一品の解説です。無上瑜伽タントラの生起次第・究竟次第の総論が主なテーマとなります。

9月 5日(木) 「密教美術形成史の研究」

チベット仏教に関連する興味深い学術書を毎年刊行している起心書房から、今年の春に出版された2冊の図書を御紹介しましょう。実は、3月末に本を御恵贈いただいていたのですが、ちょうどポタラ・カレッジ定期講習の春期開講、宗祖ツォンカパ大師600年御遠忌記念の密教伝授、総本山善通寺の公開講座第1回などが立て続けにあり、なかなか拝読して御紹介することができませんでした(汗)

起心書房2019年刊行図書

まず安元剛『密教美術形成史の研究』(写真右)は、密教美術研究者でもある起心書房社長御自身の労作で、主に北西インドを舞台に、ガンダーラ仏から密教美術に至るまでの変遷を、豊富な資料を駆使して詳説しています。今までにあまり類例のない、貴重な研究書といえるのではないかと思います。
大乗仏教や密教の歴史について考察するとき、私のようにチベット仏教に実践的な立場からコミットしている場合、近代仏教学の歴史観と、宗教的な立ち位置からの見方を、きちんと分けて理解しなければいけません。これは、建物の1階と上の階とでは見える景色が異なるようなもので、その仕組みさえ分かれば、自由に両方の立ち位置を行き来できるのです。本書の著者も、「はじめに」の註12(pp.ⅶ-ⅷ)で、この件について言及しています。
私は、ダラムサラからの帰路に、デリー国立博物館を見学し、膨大な量の貴重な仏教美術が展示されているのを拝観したことがあります。もし本書を精読してから、再びあの博物館を訪れ、なかば無造作に陳列されている宝物の数々をつぶさに観察するならば、失われたインド仏教本流の在りし日の姿が視覚的に甦るのではないか・・と想像したりしています。

そしてもう一冊は、津田明雅『ナーガールジュナの賛歌』(写真左)。聖者ナーガールジュナ(龍樹)に帰せられる諸著作の考察と、23篇の「賛」の対訳。チベット仏教でよく引用される『出世間賛』や『法界賛』も収録されています。

詳しくは、起心書房のサイトを御覧ください。
http://kishin-syobo.com/

9月 2日(月) 善通寺公開講座第2回終了

8月29日(木)と30日(金)の両日、総本山善通寺(香川県)勧学院の公開講座「チベット密教入門」第2回を担当させていただき、お蔭さまで無事に終了いたしました! 熱心な受講者の皆様と、いつも親切になさってくださる善通寺の方々へ、心より随喜と感謝を捧げます。

善通寺金堂

今回は、有志のメンバーによるチベット語仏典の勉強会もスタート。「ラムリム・チェンモ」の科範に簡潔な説明を付した、短かめのテキストを用いています。「ラムリム」の叙述項目の、数と順序と要旨を確認でき、瞑想の手引きとしても便利だと思います。
第3回は、10月31日(木)・11月1日(金)の両日を予定しております。

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